携帯電話が一般的になってから、連絡手段としてSMS(ショートメッセージサービス)を活用している人は多いのではないでしょうか。個人間でのやりとり以外に、企業からの連絡を受けるという使い方も少なくはありません。企業でSMSを利用するときは、一斉送信を行うと便利です。
そこで、この記事では、SMSで一斉送信を行う方法やメリットとデメリット、サービスの選び方のポイントなどを解説しています。SMS一斉送信をビジネスに活用している企業の事例も紹介しているので、参考にしてみてください。

SMSとは何かを知りたい方は、事前にこちらをご覧ください。
(関連記事:SMSとは何か?ビジネス利用のメリットと効果的な使い方)

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SMSの一斉送信とは?

SMS一斉送信とは、企業が携帯電話事業者のサービスを利用して、SMSを一斉配信するものです。ここでは、一斉送信の概要と方法について紹介していきます。

通常のSMSアプリでは一斉送信はできない

携帯電話を使っていれば、個人間でも携帯電話番号だけで通常のSMSアプリからメッセージをやりとりすることが可能です。しかし通常のSMSアプリが入っているだけでは、複数名にメッセージを一斉送信することはできません。+メッセージ(SMS)アプリにはグループ送信機能もありますが、基本的には1つのメッセージに対して1人の相手と考えたほうがいいでしょう。また、通常は1日に送信できる回数の上限も決まっています。

SMS一斉送信の方法

企業がSMSの一斉送信を行うためには、法人向けのSMS送信サービスを利用する必要があります。SMS送信サービスでは一斉送信はもちろんのこと、個別送信やAPI送信もできるため、特定のタイミングでユーザーにメッセージを送りたいときも柔軟に対応できます。つまり、利用者全体に送りたいときとターゲットを絞って送りたいときの使い分けが可能になるということです。従来、SMSを一通ずつ送っていた場合には、業務効率化に役立てることができるでしょう。

SMSを一斉送信するメリット

SMSの一斉送信ができることで、実際にどのようなメリットがあるのか紹介していきます。

携帯電話番号がわかれば一斉送信できる

最大のメリットは、携帯電話番号を把握しているユーザーのすべてに一斉にメッセージを送信できることです。
利用者に対してメールで連絡を行った場合、相手によっては届かないケースもあります。スマートフォンが主流になってから、メールの使い方は従来と変わってきています。これまで、携帯端末で使うメールはキャリアメールが一般的でした。ところが、スマートフォンはフリーメールのアドレスを使うなど柔軟な設定が可能です。その結果、キャリアメールを利用しない人も増えており、機種変更に合わせてメールアドレスを変えることも少なくはありません。
一方、携帯電話番号は機種やキャリアを変更しても、番号自体はそのまま同じものを使い続けるケースが多く、メッセージが届かなくなる可能性が低いチャネルと言えます。

利用者すべてに重要な通知を発信できる

SMS一斉送信は、利用者すべてに重要な通知を発信できる点も大きなメリットです。
数人に連絡を入れる場合や、個別の顧客だけに通知が必要なケースであれば、電話や従来のSMSでも特に問題はありません。しかし、不特定多数の顧客に連絡が必要になった場合、個別送信のSMSや電話連絡では限界があります。SNSのDMを利用することも可能ですが、ユーザーの誰もが必ず見るという保証はなく、連絡が漏れてしまうことも出てきます。
その点、SMSで一斉に通知できれば、該当する相手に必要な情報をスムーズに届けられるのがメリットです。

開封率が高い

SMSはプッシュ通知として表示されることから、ユーザーの目につきやすく開封率が高いことも、SMSを使うメリットにあげられます。メールの場合、届いていても開封しないで放置してしまう人もいますし、迷惑メールに振り分けられ削除されてしまう可能性もあります。SMSはメール配信とは異なり、直接届いて通知されるメッセージです。そのため、膨大なメッセージの中に埋もれてしまうことがなくなり、開封率も高くなります。

メッセージの送信コストを抑えられる

電話で連絡をする場合には、何度電話をかけてもつながらなかったり、話が長引いてしまったりすることがあります。このような場合には、通信コストも人的コストも余計にかかるようになります。その点、SMS一斉送信の場合には1回で確実に情報を伝えることができ、結果として送信コストを抑えることができます。

このような多くのメリットを持つSMS送信サービスは毎年のように市場規模も拡大しており、2025年度には国内で93億通までの拡大が予測されています。

参考:株式会社矢野経済研究所「SMS送信サービス市場に関する調査を実施(2020年)」

SMS一斉送信で生じやすいデメリット

メリットの多いSMS一斉送信ですが、いくつかデメリットもあります。

文字数に限界がある

SMSでは送信できる文字数に限界がある点が一番のデメリットといえるでしょう。ただし、必要に応じて関連サイトの短縮URLを記載するなどで文字数を抑える対応をすることもできます。

番号の変更や受信環境によって送信できない

送信相手の携帯電話番号が変わってしまったときや、携帯端末の電源を切っているときはSMSを受信できません。せっかく一斉送信をしても、番号の変更や受信環境によってはSMSを受け取れないユーザーが出てくるのはデメリットです。しかし、その場合は直接電話をしてもつながることはなく、SMS以外の手段でも連絡を取るのは難しいといえます。
デメリットもありますが、メリットも多いSMS一斉送信です。メリットとデメリットを理解したうえで、SMS一斉送信を取り入れていきましょう。

(関連記事:SMS 一斉送信をどう取り入れる!?長所や短所も詳しく解説

SMS一斉送信の始め方

前述したように、企業でSMS一斉送信を行うためには、法人向けのSMS送信サービスを利用して始めます。

SMS一斉送信を行う要件を確認

まずSMS一斉送信をどのような要件で利用するのかを確認します。重要な連絡事項を送信するために使うのか、キャンペーンやイベントの案内などのマーケティングのために利用するのか、要件を明確にしておきましょう。

SMS一斉送信サービスを選定

その要件に合致したSMS一斉送信サービスをいくつか選定したら、SMS一斉送信サービス提供会社とコンタクトを取り、その会社のSMS一斉送信活用事例やより詳しいサービス内容を確認します。トライアルを行っている場合は、実際の操作感も試してみましょう。

SMS一斉送信サービスを実装しテストを実施

採用するSMS一斉送信サービスが決まったら、CSVファイルで送信先をアップロードして配信テストを行います。まずは少数を対象に一斉送信をし、問題がないようであれば本格運用に入ります。その後は配信先の利用者に対する効果を計測しながら、メッセージ文面を改善したり配信頻度を調整したりします。

SMS送信サービスを選ぶときのポイント

ここではSMS一斉送信サービスを選ぶときのポイントを解説していきます。

「国内直収」は欠かせない条件

SMS送信サービスと一口に言っても、大きく「国内直収接続」と「国際網接続」の2種類の配信方法があります。「国内直収」とは、国内の大手キャリア各社と直接接続してSMSを送信する方法のことです。「国際網接続」は海外の回線網を経由して日本の携帯電話に対してメッセージを送信する方法です。

メッセージを届けたい対象が国内の場合は、「国内直収接続」が適しています。「国際網接続」の場合、ユーザーや顧客側で受信拒否設定を行っている可能性もあり、SMS送信サービスの強みの一つであるコンタクト率・到達率が期待ほど望めなくなる可能性が高いためです。SMS送信サービスを提供している会社によってどの方法を採用しているかが異なるため、事前に確認しましょう。

送信処理能力も重視

送信処理能力が高いことも、SMS送信サービスを選ぶ際の重要なポイントの一つです。特にスピーディーな通知を必要とする事業者ほど、この点を重視しておかなければいけません。多くの顧客を抱えている場合も、送信処理能力は重要な判断ポイントです。
送信処理能力が低いと、必要なときに必要なだけのユーザーに情報を届けられない事態になります。場合によっては、企業全体の大きな損失につながることもあります。

セキュリティ・サポート体制をチェックする

もちろん、セキュリティサポート体制が万全であることも重要な選定ポイントです。顧客情報漏洩などがあっては、SMSを送信する企業の信頼を揺るがすことになります。特に金融機関など顧客の資産に関連するような業務で利用するなら、対応可能なセキュリティであるかどうかは必ずチェックしましょう。
内部への侵入を素早く検知するシステムを備えていることや、サーバーを国内に置いていることなども判断材料になります。もちろん、困ったときやトラブルが起こったときのサポート体制ができていることも重要です。

機能が豊富かどうかも重要

SMSの一斉送信ができるだけでなく、自社の業務内容に適した機能を備えているかどうかも重要なポイントです。実際に利用してから必要な機能がなかったということがないよう、事前に必ず確認しておくといいでしょう。また、不明な点について質問しやすいかどうかも判断ポイントの一つにあげられます。

使ってみると便利!SMS一斉送信の活用シーンと事例

SMSの一斉送信といっても、実際にはどのように便利なのかなかなかイメージがわきにくいかもしれません。そこで、便利な活用シーンをいくつか紹介します。

顧客満足度アンケート

SMS一斉送信は、顧客満足度アンケートの実施にも有効な手段です。自社のサービスを利用してくれている顧客が、実際にどのような意見を持っているか把握する手段にアンケートがあります。これまで、アンケート用紙を郵送して実施してきた事業者も多いかもしれません。しかし、思うように回収できないなど、効果的に活用できなければ意味のないもので終わってしまいます。印刷や発送料などでコストがかかるだけです。
SMSであれば、顧客のスマートフォンにダイレクトに届けることができます。アンケートサイトのURLに誘導することで、顧客の都合のよいときに回答してもらうことが可能になります。

規約変更、施設の利用時間変更などの重要な連絡

規約や利用条件の変更など、重要事項の連絡をする場合にもSMSの一斉送信を使うと便利です。規約などの他にも、例えば施設の利用時間や店舗の営業時間に変更があったときも、SMSですべての顧客に一斉送信できます。何らかの変更があったことを契約者や顧客に伝えるとき、ホームページの内容を更新しておくことは多いのではないでしょうか。
もちろん、ホームページ上で報告するのも一つの手段です。しかし、利用者のすべてがこまめにホームページを確認するとは限りません。中には、利用時間や休業日に変更があったことを知らずにいつも通りに訪れる利用者もいるでしょう。

そのようなことを避けるためにも、SMSという目につきやすい方法で知らせておくほうが親切です。SMS上ですべての内容を報告することはありません。保険や金融商品の規約のように重要な変更があったときは、まずSMSで連絡をし、URLを添えてホームページに誘導するとよいでしょう。営業内容の変更などについても、詳細はホームページを見てもらうという流れで問題はありません。変更を知らせるきっかけとしてSMSを使い、一斉送信を行えば連絡はスムーズです。

キャンペーンやイベントの案内

キャンペーンやイベントを効率よく案内するときも、SMSは有効な手段です。
例えば、店舗の周年記念のイベントや季節ごとのキャンペーンなど、お得な情報を適切に届けることができます。キャンペーンやイベントはSNSでも発信できますが、フォローしていなければ目にすることはありません。SNSによっては、アカウントを持っていないと閲覧すら難しいでしょう。その点、SMSなら携帯番号を持っているだけで誰でも受信が可能です。

支払日や更新日などのリマインダー

利用料金の支払日や契約更新日のお知らせなどの連絡手段としてもSMS一斉送信は便利に使えます。支払い先によって口座を分けている人もいますし、セキュリティの観点から余計なお金を口座に入れておかないという人も珍しくありません。そのような場合でも、事前に支払日を通知してあげることで引き落とし漏れを防ぐことができます。
契約の更新日も、事前に通知してあげると親切です。携帯電話や光回線、自動車保険、生命保険など、更新日を逃してしまうと困るものはいろいろあります。自動更新設定がされているものでも、利用者によっては更新のタイミングでプラン変更を検討したいこともあるでしょう。特に、更新月以外の解約で違約金が発生するような契約の場合は、事前に通知してあげることも大切です。そういった細かい気配りが顧客の信用と満足度につながっていきます。

請求金額が決定したときの連絡

月ごとで利用料金が変動するようなサービスの場合、請求金額が決定した時点で一斉送信をするという使い方もできます。例えば、後払いサービスや携帯電話の利用料金、電気代やガス代などの公共料金が挙げられます。これまで、紙による通知書を発送してきた事業者でも、SMSに切り替えているケースは増えてきています。
請求書の決定をSMSで一斉送信するときは「請求額のお知らせ」といった感じで送信すればいいのです。あとは、顧客一人ひとりの管理ページにアクセスできるURLを添えておけば、自主的にログインして確認してもらえます。紙による通知だと、中には紛失してしまうケースも少なくありません。
また、紙による通知からSMSに切り替えることで、コストの大幅削減も可能になります。

トラブル発生などの緊急時の顧客連絡

突発的な事故や自然災害など、思いがけないトラブルによって本来の予定を変更せざるを得ないこともあります。例えば、天候の都合で飛行機や客船が欠航になる場合、あらかじめチケットを取っている顧客に一斉に知らせることが可能です。事前にSMSで一斉送信を行っておけば、現地に向かって初めて欠航や変更の事実に気づくということもありません。もし、事前に知ることができなければ、空港やターミナルで顧客が足止めされてしまうことも出てくるでしょう。

緊急事態が起こったとき、顧客に知らせる手段としてメールや電話などもあります。しかし、メールの場合は確実に届いているかどうかの判断がしにくい点がデメリットです。顧客の設定次第では、届かない可能性も出てきます。
電話の場合、少人数であれば有効な連絡手段ですが、利用者が多いほど限られた時間内ですべての人に伝えるのは難しくなります。コストも人材もかかりますし、現実的な方法とはいえません。その点、SMSで一斉送信をすれば、利用者のすべてに状況を知らせることが可能です。

SMS一斉送信サービスで業務の効率アップを

SMSは、到達率と開封率の高い通知手段です。業務として利用するなら、キャリアに関係なく利用可能な法人向けのSMSサービスを利用しましょう。一斉送信にも対応しているため、個別送信はもちろん一度に多くのユーザーに通知を送ることが可能です。セキュリティ面や機能などを重視し、自社の業務内容に合ったサービスを選ぶことで業務の効率アップにつなげることもできます。

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