損害保険会社から委託を受けて、保険商品の販売やサービスを手掛ける東京海上日動あんしんコンサルティング株式会社。同社が取り扱う大学生向け損害保険の、問い合わせ用電話応答システムにおいて、顧客対応をスムーズに行えるようAPIで導入されたのが「空電プッシュ」です。加入期間が4年間に渡ることの多い大学生向け保険ならではの課題や、顧客サービスの向上に寄与したという成果について、営業企画部の栁川氏、公務広域法人部の村上氏に伺いました。
まずは貴社の事業内容とおふたりが所属する部署の業務内容について教えてください。
栁川氏:当社では、東京海上日動火災保険株式会社を中心とした損害保険会社から代理店委託を受け、保険商品の販売・サービスを手掛けています。私が所属する営業企画部は、実際に保険を販売する営業部隊をバックヤードで支える部門です。今回のように営業担当者が利用するシステム・サービスの導入支援や、契約面におけるバックアップ業務を担っています。
村上氏:私が所属する公務広域法人部は、主に大学や病院・医療機関などの公的機関の保険営業を担う部署です。複数の団体で構成員の方を対象とした募集を行うことが多く、ご加入を検討されている方からのご照会への対応や、お申し込み後のサポートなどを行っています。空電プッシュは、大学生を対象とした損害保険の業務で利用しています。
空電プッシュ導入のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
村上氏:当社でお取扱いさせていただいている大学では、3月の合格発表の際、入学手続き案内と一緒に学生向け保険のパンフレットを配付いただいております。
パンフレットをご覧になった保護者・学生の方が、入学時から補償を開始できるようにするため、3月は保険商品の内容や手続き方法の不明点などのお問い合わせが非常に多くなります。
約一カ月の短い期間に通常よりもかなり多くのお問い合わせをいただき、窓口を担当する7名のスタッフだけでは対応しきれなくなってしまうことが以前からの課題でした。同じ電話回線で、加入済みの方から事故に遭った際のご連絡もいただきますので、ひと月で対応できるのは4,000件くらい。1日中応対をしても、お客様をお待たせしてしまう状況でした。
そこで、2017年から事故に遭った際のご請求は当社のHPからも受け付けられるようにし、お客様の利便性向上を図りました。しかし、この損害保険は通常、入学から卒業までの4年間加入する方が一番多いため、2016年までのパンフレットを見て申し込まれた方はHPから請求できること自体もご存じない状態が続いていました。
以前から電話応答システムのコールフローの中で、HPからも請求できることを音声ガイダンスでお伝えしてはいたのですが、「このワードで検索するとHPが出てきます」といったご案内に留まっていました。お客様に検索をお願いする形では、実際のアクションにつなげるのは難しい。URL自体をお送りできると良いのではと検討していたところ、2019年に社内でSMS送信サービス導入の検討が進んでいると知り、コールフローの中でSMSを送れるようにできないか、担当部署に問い合わせたところから話がスタートしました。
導入へ至る上で、一番のポイントとなった点を教えてください。
村上氏:コールフローと連携してSMSを送信できるサービスについては、他にも候補が2、3社あったと聞いています。選定と導入は経営企画部の担当者が進めたのですが、最終的にもともと当社が電話応答のために利用していたシステムとの連携性の良さが決め手となり、空電プッシュが選ばれたようです。
弊社の電話応答システムでは、電話がかかってくるとまず音声ガイダンスが流れ、お客様によるプッシュボタンの操作によって、応答するオペレーターやご案内方法が変わっていくシステムです。利用中のシステムにSMS連携できるのであれば、私どもも使い勝手が変わらず対応しやすいですし、会社としても導入しやすいため大きなポイントになりました。
現在の空電プッシュの具体的な活用方法について教えてください。
村上氏:お客様がパンフレットに記載されているフリーダイヤルに電話をかけると、まずガイダンスが流れ、その後「加入に関するお問い合わせは1」「請求に関するお問い合わせは2」など、音声案内に沿ってボタンを選択いただきます。そこで「請求」を選ばれた方に対して、オペレーターに空きがなく、かつ着信した番号が携帯電話であることが確認できた場合、ご用意したURL案内用のテキストがSMSで自動送信されています。
空電プッシュを導入したことでの効果やメリットについて教えてください。
村上氏:空電プッシュの導入前、2019年3月の繁忙期には、対応できたコール数が月4,259件。そのうち、加入についてのお問い合わせが約75%となる3,213件でしたので、残りの約25%は請求についてのお電話でした。対して空電プッシュ導入後の2020年3月の繁忙期は、対応できたコール数が3,766件。うち加入についてのお問い合わせが約86%となる3,225件だったため、電話での請求関連のお問い合わせは約14%まで削減されました。
また、2019年3月は保険金の請求受付が月1,876件ありましたが、Webでの請求はその内858件で約45.7%。2020年の時は保険金の請求受付が1,927件で、Webでの請求は1,447件と約75.1%まで大きく上がりました。Web受付と電話受付を合わせた件数でも、1,876件から1,927件に増えているため、空電プッシュ導入後の方が、請求自体をたくさん受け付けられたことが分かります。Webでも受け付けていると分かれば、そちらから請求したいというお客様にしっかりURLを周知でき、同時に電話で連絡したい方へのご対応もスムーズに行えるようになったため、当初の目的を達成できたと感じています。
ピーク期間 | 請求数 | web請求数 | web請求割合 | |
2019年 | 3/11~4/5(4週間) | 1,876件 | 858件 | 45.7% |
2020年 | 3/9~4/3(4週間) | 1,927件 | 1,447件 | 75.1% |
今後の空電プッシュのご活用方法や、追加されると良いと思われる機能などがあれば教えてください。
村上氏:Webから請求を受け付けた場合、お客様が入力された内容を自動でExcelに転記することができます。電話受付のとき応答後に発生する入力作業などを短縮できることにもなるため、空電プッシュと他のデジタルサービスを連動させていくことで、より便利になると感じています。また、以前はパンフレットでご紹介できなかった新たなサービスなどがスタートしても、その通知をどうするか難しい部分があったのですが、今後はそういった場面でも空電プッシュを使っていけるのではないかと考えております。
栁川氏:最近は保険の手続きもデジタル化が進んでいます。更新のご案内自体は紙でお送りすることも多いのですが、そこからQRコードを読み取って手続きいただくことで、より迅速にお客様へ証券などをお届けできるようになります。
当社ではそうしたデジタルでの手続き率を上げることにも取り組んでいます。そのため、お客様に紙のご案内を送った後、重ねてSMSでURLをお送りするなどに活用したいと考えている営業部が多くあります。SMSでのご連絡だと反応率が高いという話もあり、すでに使い始めている部署もあるようです。村上がお話ししたとおり、損害保険会社のシステムへの連携に伴う手続きが簡略化されることで、お客様へのご対応がスピーディーにできることはもちろん、当社業務の効率化にも寄与していける。今後そうした活用の幅をさらに広げていけると嬉しいですね。
他の事例を見る学校法人 桜花学園 桜花学園大学・名古屋短期大学様
卒業生への連絡手段を「郵送のみ」からSMSへ切り替え、配信コスト80%以上を削減!サントリーウエルネス株式会社様
顧客満足度アンケートを“はがき”からSMSへシフト。大幅なアンケート回収件数アップとコスト削減に成功!中日本高速道路株式会社様
SMSを活用し、渋滞情報や個人情報の入力フォームをご案内。月30時間以上の通話時間を削減!