自治体において住民との連絡が必要な業務は多々ありますが、電話や郵送物で住民との連絡を取ろうとするものの、なかなか確認いただけないという課題があります。特にコロナ禍において、対面での接触も厳しく訪問もしづらいという中、自治体におけるSMSの有効活用が活発になってきています。

本記事では、自治体・役所がSMSを活用するメリットと注意点、実際の活用例などをご紹介します。SMS送信サービスを選ぶときのポイントも解説しているので、SMSの活用を検討している担当者の方はぜひチェックしてみてください。

この記事の内容
  • 携帯電話番号でメッセージをやりとりできるSMSは、「開封率が高い」「携帯電話番号さえわかれば連絡できる」「コスト削減につながる」など、自治体・役所にとって多くのメリットがある
  • 特定健診の連絡や各種税金の徴収・催促、ワクチン接種日連絡など、実際に自治体のさまざまな業務にSMSが活用されている
  • 自治体がSMS配信サービスを導入する際は、「操作が簡単」「国内直収接続」「API連携とLGWANに対応している」などの条件を満たすものがおすすめ
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SMS(ショートメッセージサービス)とは

SMSは「Short Message Service」の頭文字を取ったもので、携帯電話番号を使ってメッセージをやりとりできるサービスです。メールアドレスやSNSのアカウントがなくても、携帯電話番号さえわかればメッセージを送受信できます。

SMSは通常のメッセージのやりとりのほか、Webサイトのログイン時の本人確認などにも利用されています。また、手軽にメッセージを送信できるとして、企業が顧客との連絡手段にSMSを導入するケースも増えていて、活用シーンが幅広いのが特徴です。

関連記事:SMSとは何か?ビジネス利用のメリットと効果的な使い方

自治体・役所がSMSを活用するメリット

SMSには以下のようなメリットがあり、自治体・役所での活用もおすすめです。

  • 連絡に気づいてもらいやすく、開封率が高い
  • 携帯電話・スマートフォンに標準搭載されている
  • 携帯電話番号がわかれば連絡できる
  • リアルタイムな配信ができる
  • コスト削減が期待できる

上記5つのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。

連絡に気づいてもらいやすく、開封率が高い

SMSが届くとスマートフォンにポップアップ通知が表示されるため、開封率が高いのがメリットです。SMSは受信件数が少なくほかのメッセージに埋もれにくいという特徴もあり、重要な連絡に気づいてもらいやすいでしょう。

電話は相手の都合が悪いと出てもらえませんし、メールはほかのメールに埋もれたり迷惑メールフォルダに入ったりして見落とされるケースも少なくありません。相手が都合の良いときに確認できて、開封率や視認性が高いSMSは、相手に確実にメッセージを見てもらいたいときにおすすめのツールです。

携帯電話・スマートフォンに標準搭載されている

SMSを送受信する機能は、携帯電話・スマートフォンに標準搭載されています。事前の会員登録や専用アプリのダウンロードなどが不要なため、誰でも手軽に利用できます。自治体や役所はさまざまな立場や年齢の人と連絡を取る必要がありますが、携帯電話もしくはスマートフォンを持っている相手なら特別な対応なくメッセージを送信できるのも大きなメリットです。

SMSはガラケーでも利用できるので、ガラケーユーザーに対しても問題なく連絡できます。スマートフォンを使う人が多い一方で、ガラケーを使っている人も一定数は存在するため、相手の端末を問わず利用できるのもSMSのメリットです。

携帯電話番号がわかれば連絡できる

郵送やメールは、引っ越しやメールアドレスの変更によって相手と連絡が取れなくなるケースも少なくありません。一方、携帯電話の番号はキャリアを乗り換えても引き継げるため、携帯電話番号を変更する人はそれほど多くありません。そのため、携帯電話番号でやりとりできるSMSは、継続的に連絡が取れる手段としても重宝されています。

SMSは不達のリスクが低く、郵送やメールに対して反応のない相手への連絡手段としても役立つツールです。

リアルタイムな配信ができる

SMSはメールのように送信すればすぐに相手に届くため、リアルタイムな配信ができるのもメリットです。郵送の場合は投函してから相手に届くまで数日かかりますし、届いてもすぐに開封してもらえないこともあります。電話は不在や相手の都合が悪いときはつながらず、登録していない電話番号からの着信には出ないようにしている人も多いでしょう。

SMSなら、リアルタイムに情報を届けられます。緊急時の連絡や、「郵送した文書を確認してほしい」など、別の連絡手段に気づいてもらうために活用することも可能です。

コスト削減が期待できる

SMSは送信する文字数や利用するサービスによって送信料が変わりますが、1回あたりの連絡にかかる費用は郵送や電話と比べて安くなることが多いです。郵送には送料だけでなく文書の作成や印刷にもコストがかかり、電話は一度に多くの人に連絡できないため人件費がかかります。

SMSなら印刷が不要で、メッセージの送信に時間もかからないため、郵送費や人件費の削減が期待できるのも大きなメリットのひとつです。

自治体・役所のSMS活用例1:特定検診の連絡

課題

40歳以上75歳未満の方を対象に受診していただく「特定健診」の受診勧奨業務において、毎年、区報や区のホームページ、ポスターやチラシ、SNSなどで告知をしたり、一部の対象者には受診勧奨ハガキを送付したりとさまざまな取り組みを行っていましたが、受診率があがらずに悩んでいました。

解決策

特定健診の対象者に向け、週2回のSMSを送信した結果、コロナ禍で特定健診の受診を控える方が多く、都内や23区全体では対前年度比で9割弱に落ち込んだ中、取り組んだ自治体では対前年度比で、ほぼ同率となりました。

自治体・役所のSMS活用例2:各種税金や健康保険料の徴収・催促

課題

市税・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の徴収や、滞納者への督促などにおいて、郵便物での督促や催告では、帰宅していない、転居している、などの事情で気づいていただけず、未開封のままでした。また、電話は不在で通話できず、折り返しの連絡もいただけない。臨戸訪問をしても不在であったり、不在の場合に差し置きしている文書に対しても反応がないといった状況が見られました。

解決策

未納に関する連絡をSMSで送付した数分後から、着々と返電が入り始めるようになりました。結果、納付額の伸びは、すぐに導入や運用のコストを上回るようになりました。

SMS文面例

「XX市徴収課です。未納の市税があります。至急ご納付をお願いします」
「XX市税務部納税課です。〇月〇日に通知を発送しましたのでご確認ください。(直通電話番号)」
「督促」や「催告」という言葉は使わず、「納付確認」という文言で、お問い合わせ先として保険料係や税務部納税課の連絡先を入れてメッセージを送る等の工夫もされています。

自治体・役所のSMS活用例3:母子支援連絡

課題

「妊娠中のケア」「出産後の新生児訪問」「乳幼児健康診断」という各種支援の実施率を高めたいという課題がありました。従来のハガキは着眼率が低く、電話もなかなかつながらない課題がありました。特にハガキは宛名記載・郵送の手間、住所に本当に居住しているかの確認など多くの稼働がかかっているという課題がありました。

解決策

「妊娠中のケア」「出産後の新生児訪問」「乳幼児健康診断」の対象となる方のなかで、携帯電話の番号を把握している方に向けてはハガキや電話よりも先にまずSMSを送信しています。電話と比べてSMSの方が明らかに反応が良く、すぐに折り返しの電話やメールをいただけます。最初に反応率の高いSMSを送ることで、ハガキを送る作業や電話をかける件数を大幅に減らすことができました。また、コロナ禍で「乳幼児健康診断」の受診率が下がっている自治体が多いと聞く中、取り組んだ自治体ではほぼ変わらずの受診率を維持できました。

自治体・役所のSMS活用例4:ワクチン接種日連絡

課題

当初は、予約日時や接種会場を明記したハガキをお送りしていましたが、ハガキは郵送代がかかります。また、ハガキでは接種日直前の緊急連絡対応(悪天候による注視等の連絡)ができないことも課題でした。

解決策

オンライン予約により連絡先電話番号は9割が携帯電話番号だったため、ハガキの代替えとしてSMSでの連絡に切り替えることで大きなコスト削減につながりました。また、当日予約の連絡にも対応可能ですし、悪天候による中止の連絡もスムーズに実現できました。

SMS文面例

「あなたのコロナワクチン接種は◯月◯日の◯時です。接種場所は◯◯です。」

「このメッセージはワクチン接種の1回目の予約をされた方にお送りしています」というメッセージも別送することで安心感を与えています。

自治体・役所がSMSを活用する際の注意点

SMSはメリットの多い便利なツールですが、活用する際には以下の点に注意してください。

  • 文字数制限に気を付ける
  • 画像や動画の送付は短縮URLを活用する
  • SMSでの配信を始める際は事前にアナウンスをする

ここでは、自治体・役所がSMSを活用する際の注意点について解説します。

文字数制限に気を付ける

SMSは「ショートメッセージサービス」という名称のとおり、短いメッセージのやりとりに特化したサービスで、文字数制限がある点に注意してください。SMSで送信できる最大文字数は全角670文字で、これを超えるとエラーになるか分割して送信されます。

また、最大670文字まで送信できるようになったのは2019年からで、相手が古いモデルの端末を使っている場合、最大文字数の拡張に対応していない可能性があります。

そのため、SMSでの連絡はなるべく簡潔にまとめ、文字数が多くなりすぎないように注意が必要です。

関連記事:SMSの文字数制限とは?活用例やサービスを選ぶポイントも紹介

画像や動画の送付は短縮URLを活用する

SMSはテキストの送受信しかできず、メールのように画像や動画を添付することはできません。画像や動画を送信するには、送りたい画像や動画をインターネット上にアップロードし、そのURLをメッセージに記載しましょう。URLにアクセスすれば、相手はアップロードされた画像や動画を見ることができます。

ただし、長いURLを記載するとメッセージの文字数が多くなってしまうため、短縮URLを活用するのがおすすめです。通常のURLを短くして表示する短縮URLサービスを利用して、少しでも文字数を節約しましょう。

関連記事:SMSで画像や写真を送るには? 送信方法を詳しく解説

SMSでの送信を始める際は事前にアナウンスをする

予告なくSMSの送信を始めると、相手に詐欺などと勘違いされる可能性があります。本当に自治体や役所から送られてきたものだと思ってもらえなければ、せっかくメッセージを送信しても読まれずに削除されてしまうかもしれません。

SMSの送信を始める前に、しっかりアナウンスして周知しておきましょう。公式サイトにSMSの送信を始めることや送信開始日、送信元の電話番号や問い合わせ先などを明記し、詐欺だと勘違いされないように事前に対策することが大切です。

自治体・役所がSMS送信サービスの選ぶときのポイント

携帯電話やスマートフォンでは一斉送信や予約送信などはできないため、自治体や役所の業務にSMSを用いるならSMS送信サービスの利用がおすすめです。SMS送信サービスを選ぶときは、以下のポイントを意識してください。

  • 操作が簡単で負担にならないサービスを選ぶ
  • 国内直収接続サービスを選ぶ
  • API連携できるサービスを選ぶ
  • サポート体制が充実したサービスを選ぶ

上記4つのポイントについて、以下で詳しく解説します。

操作が簡単で負担にならないサービスを選ぶ

窓口対応など忙しい業務の合間でも迷わず操作できるよう、簡単に操作できて担当職員の負担にならないサービスを選ぶことが大切です。たくさんの機能が備わったサービスもありますが、使う予定のない機能が多くあると操作画面が複雑になって負担やミスの原因になります。

具体的にどのような機能があれば良いのか事前に明確にして、必要な機能が備わったシンプルなサービスを選ぶのがおすすめです。操作が簡単でわかりやすいサービスなら、担当職員が不在のときでもほかの人が代理でSMSを送信しやすく、業務が滞りにくいというメリットもあります。

国内直収接続サービスを選ぶ

SMS送信サービスは、「国内直収接続」と「国際網接続」の2種類があります。国内直収接続は国内のキャリアと直接接続する仕組みで、安定した通信が可能です。一方、国際網接続は海外の回線を経由してSMSを送信する仕組みで、相手が海外からの受信を拒否しているとメッセージを届けられません。

国内に住んでいる人が送信対象なら、国内直収接続のサービスが適しています。メッセージを届けられない可能性のある国際網接続は、到達率や開封率が高いというSMSのメリットが損なわれてしまうため、接続方式も確認したうえでサービスを選びましょう。

API連携できるサービスを選ぶ

API連携とは、アプリケーションやシステム同士を連携させるための機能です。API連携が可能なSMS送信サービスなら、自治体や役所の業務で使用しているシステムと連携して、より効率的なSMS送信が可能になります。

自治体のシステムはセキュリティの高い専用ネットワーク「LGWAN」を利用しているため、API連携を行うにはLGWANに対応したSMS送信サービスを選ばなければなりません。API連携を活用したい場合は、API連携の機能があるだけでなくLGWANに対応しているかどうかも確認しましょう。

サポート体制が充実したサービスを選ぶ

SMS送信サービスを選ぶ際は、機能や価格だけでなくサポート体制も考慮しましょう。サポート体制が不十分なサービスを選んでしまうと、トラブルが起きたときに対応が遅れて住民に迷惑をかけてしまうかもしれません。

自治体や役所は住民からの信頼が大切なため、万が一トラブルが起きたときには早期復旧が求められます。問い合わせ方法の種類や対応時間、セキュリティ対策の内容など、安定して運用できる体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。

自治体・役所にSMSを導入しよう

SMSは携帯電話番号を利用してメッセージを送受信できるサービスで、開封率が高く電話番号さえわかればメッセージを送信できる手軽さなどがメリットです。本記事でご紹介した活用例のように自治体・役所でもSMSの導入が進んでいるので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

NTTコム オンラインでは、行政専用ネットワークであるLGWANを通じて利用可能なSMS送信サービス「空電プッシュ for LGWAN」を提供しています。LGWAN対応SMS送信サービスは、高いセキュリティを維持しながら、SMSを一斉に送信できることから、従来の連絡手段(電話、郵便物、Eメール)に代わる新たなツールとしてご活用頂いています。

郵送や電話による住民とのコミュニケーションに課題をお持ちのご担当者様は、ぜひ「空電プッシュ for LGWAN」をご活用ください。