アンケートや満足度調査は、商品・サービスや事業そのものの向上・改善に取り組む上で欠かせないものです。メールや郵送などさまざまな実施方法がありますが、アンケート結果を有効活用するためには回答率を高める工夫が必要です。近年は、到達率や開封率が高いSMSをアンケートに活用する企業が増えています。

本記事では、SMSをアンケートに活用するメリットや注意点、活用事例などについて解説します。SMS送信サービスを導入し、アンケート調査にSMSを活用して成果を得ている企業の事例も紹介しますので、より効果的なアンケートの実施方法を模索している企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • 顧客向けアンケートには、メールや電話、街頭、Webといった方法があるが、労力やコスト、回答の集め方などの点で異なる特徴がある
  • SMSは携帯電話に標準装備されており、ポップアップ通知が設定されているため視認性が高く、多くのユーザーにアンケートを依頼しやすい
  • SMSを用いたアンケートは、顧客満足度の調査の他、休眠顧客の掘り起こしやスケジュール調整、ユーザーの状況確認などにも利用できる
  • 法人向けSMS送信サービスは、一斉送信や受信者の開封確認、短縮URL機能などアンケート実施に役立つ機能が多く搭載されている
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SMSを活用したアンケート配信とは?

SMS(ショートメッセージサービス)は、携帯電話番号宛にテキストメッセージを送信できる通信手段です。メールやDMと比べて開封率が非常に高く、短文で確実に情報を届けたい場面に適しています。

この特性を活かし、近年ではSMSを活用したアンケート配信が注目されています。たとえば、SMSでアンケートの回答ページのURLを記載したメッセージを送信する仕組みが一般的です。シンプルな操作で済むため、スマートフォン操作に不慣れな層にも効果的にアプローチしやすい点が大きな魅力です。

代表的なアンケートへの実施方法とメリット・デメリット

SMS以外に、顧客を対象としたアンケートの実施方法として、以下のような手段があります。

  • DM(ダイレクトメール)
  • 電話
  • 街頭
  • Web

アンケート調査の目的や対象となるターゲット層によって使いやすい方法は異なるため、適切なものを選ぶ必要があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

DM(ダイレクトメール)でのアンケート

DM(ダイレクトメール)でのアンケートは、アンケート用紙を顧客に郵送し、回答を返送してもらう方法です。対象者の住所が分かれば送付できるため、一般の消費者から企業まで幅広い顧客に使われています。また、インターネットに不慣れなユーザー層など、世代を問わずに実施しやすい傾向があります。

一方で、Webや電話などに比べて返送しなければならず、面倒に感じるユーザーもいるでしょう。また、郵送の手間とコストが発生する上、回収までに時間を要する場合があります。さらに、他の郵便物やポスティング広告に紛れてしまい、そもそも中身を見てもらえないケースも出てきます。

電話でのアンケート

電話でのアンケートは、オペレーターや自動音声によるアンケート調査です。電話口でユーザーに直接回答してもらえるため、効率的に回答を収集でき、短期間で調査を終えられる可能性があります。また、用紙への記入や入力といった手間がかからず、ユーザーの負担が軽減されています。WebやDMでは得られにくいような率直な意見を掘り下げることができる点もメリットでしょう。

ただ、ユーザーを電話口に拘束することとなり、時間や質問量が限られがちです。また、視覚的な説明や長い説明が必要な質問には不向きでしょう。そもそも電話に出てもらえないと回答が得られないため、都合の良い時間帯に架電できるよう工夫する必要があります。SMSやWebなどで事前に通話できる時間帯を申告してもらうなどの対策が有用です。

街頭でのアンケート

街中アンケートは、街中で回答者を募り、回答を集める方法です。テレビ番組などで用いられている手法であり、映像を見たことがある人も多いでしょう。選挙後の施設や店舗の出入り口で利用者に声をかける出口調査も、街頭調査の一例です。

対面調査では、信頼性の高い回答が得られる可能性があります。また、地域住民などエリアに詳しい人と出会えるため、限られた地域や土地と関係性の高い調査に向いています。

ただ、その場所にいる人の属性はバラバラなため、ターゲット層を絞ることが難しく、対象者の属性を限定した調査内容には不向きです。また、調査員のスキルや実施する時間帯などによっては、回答の量や質が変わる可能性があります。人員や時間といったリソースが必要になる一方で、Webや電話に比べると効率が上がりにくく、有用なシーンは限られるでしょう。

Webでのアンケート

Webアンケートは、Webフォームやメール、SMSなどオンラインツールで調査を実施し、回答を集める方法です。Googleフォームや配信システムなどの機能を利用してアンケートフォームを作成し、メールやSMSで送付して回答してもらうやり方が一般的です。

一斉送信機能を用いれば、多くのユーザーに対して効率的に調査を実施できます。ユーザー側は自分の都合の良いタイミングで回答できるため、負担がかかりにくいでしょう。また、DMや街頭のアンケートに比べると低コストで実施でき、集計機能により回答を簡単に抽出可能です。

ただ、高齢者などインターネットに不慣れな人から回答を収集しにくい場合があります。また、軽い気持ちでの回答やいたずらなどが増え、正しいデータを得られない可能性も考えられます。

アンケートにSMSを活用するメリット

SMSは、スマホやガラケーなどの機種によらず一般的な携帯電話に標準搭載されており、インストールや初期設定不要で利用できるといった特徴があります。

ここでは、SMSをアンケートに活用する主な3つのメリットを解説します。

到達率・開封率が高く回答が得られやすい

SMSは、メールなどに比べて高い到達率や開封率を誇ります。近年はMNPが浸透しており、機種変更後も同じ電話番号を引き継ぐ人が増えているため、本人に確実に届けられる確率が高い点が特徴です。

また、SMSではデフォルトでポップアップ通知が設定されており、受信と同時に中身を確認してもらいやすい傾向にあります。メールと違って迷惑メールに振り分けられることがなく、着眼率が高いため、個人を対象とするアンケートで回答数を確保したい場合に向いています。

SMS送信サービスを利用することで一斉送信が可能

SMSを一斉・個別に送信する機能を搭載したSMS送信サービスを使って、アンケートを効率的に実施できます。SMS送信サービスは法人向けのサービスで、企業が個人ユーザー向けにSMSを配信する際に使用されています。

主な機能には一斉送信や予約配信などがあります。一斉送信機能を使えば、多くのユーザー宛にアンケートを同時に送信でき、効率的な調査の実施が可能です。

中には、アンケート機能が搭載されているものもあり、アンケートフォームの作成から調査実施、回答の集計までをシステム上で実行できます。また、WebアンケートのURLをSMSで送信し、ユーザーをページに誘導して回答してもらうことも可能です。

他の方法よりコストを抑えられる

SMSを活用することで、低コストでアンケートを実施できます。SMS送信サービスごとに料金体系は異なりますが、1通あたりの送信料は約15円です。DMだと、大量に郵送する場合に数%の割引されることがありますが、それでも1通数十円かかります。加えて、用紙の印刷代も必要です。

街頭調査では人件費や移動費がかかるため割高になります。それに対し、SMSは比較的安い値段で利用できるため、コスト削減や工数削減といった効果が期待できます。また、受信側の費用は一切かからないため、ユーザー側の負担を解消している点もメリットです。

アンケートにSMSを活用する際の注意点

回収率アップや集計作業の効率化などのメリットが期待できるSMSですが、利用する上で注意点もあります。ここでは、アンケートにSMSを活用する際に気をつけたい3つのポイントについて解説します。

送れる文字数に制限がある

SMSは、送信できる文字数に制限があります。大手キャリアの最大文字数は全角670字で、それ以上の長文は送れません。全角670文字以上を送信すると、エラーになるか、もしくは分割されて送られてしまいます。そのため、アンケート内容によっては注意が必要です。

SMSの文字数制限や活用事例については、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:SMSの文字数制限とは?活用例やサービスを選ぶポイントも紹介

画像やファイルを添付できない

SMSは、画像や動画、PDFなどのファイルは添付できない仕様です。メールの場合、ファイルや画像データを添付して送信できますが、SMSでは使えないため、やり方を工夫する必要があります。

具体的には、添付したいデータをオンライン上のストレージに一旦保存するか、共有用リンクを取得し、SMS経由で相手に送ることで、受け取った人がダウンロードするといった方法です。視覚的な情報を使ってアンケートを実施したい場合には、SMSは不便かもしれません。

SMSで写真などの画像データを送る方法については、下記記事をご参照ください。

関連記事:SMSで画像や写真を送るには? 送信方法を詳しく解説

特定電子メール法を遵守する必要がある

SMSでアンケートを送信する際には、「特定電子メール法」のルールを遵守しましょう。この法律は、迷惑メールの送信を防ぎ、受信者の利益を守ることを目的としています。

SMSもこの法律の対象となるため、広告や勧誘を含むメッセージを送る場合には、事前に相手の同意(オプトイン)を得ておく必要があります。また、受信者が今後のSMS配信を拒否できるようにする「オプトアウト」の仕組みも必要です。さらに、送信者の氏名や連絡先を明記することなども義務付けられています。

こうしたルールを守らないと、信頼を損ねるだけでなく、法令違反となるリスクもあるため注意が必要です。

特定電子メール法について詳しくは、下記記事をご参照ください。
関連記事:特定電子メール法とは?罰則の内容と違反しないためのポイント

アンケート業務へのSMSの活用シーン

ここからは、アンケート業務におけるSMSの具体的な活用シーンを紹介します。自社におけるSMS活用を検討する上で参考にしてください。

顧客の満足度調査

SMSによるアンケートで代表的なものが、商品・サービスの顧客満足度調査です。SMSでWebフォームのリンクを送信し、顧客にアンケートの回答を依頼します。

企業側は、DMや街頭アンケートよりも少ない労力と時間で多くのユーザーに送信できます。また、直接会話する必要がない分、率直で具体的な声を得られる可能性があります。ユーザー側にとっては、都合の良い時間にオンライン上で回答できる点がメリットです。

加えて、企業は商品・サービスの改善に役立つ情報を効率的に得られるため、さらなる提供価値の向上を目指せるでしょう。回答データを「利用者の声」としてWebサイトで公開するなど、プロモーションとしても有効活用できるでしょう。

休眠顧客の掘り起こし

SMSによるアンケートは、休眠顧客の掘り起こしにも役立ちます。過去に商品・サービスを利用された後、一定期間利用履歴がない顧客の電話番号宛に、SMSでアンケートを送ることで、再度利用してもらうきっかけ作りが可能です。

また、派遣会社経由でしばらくの間就業していない登録者を対象に、現在の就業状況をアンケートで確認すれば、仕事紹介につなげることも可能です。

1人ずつ電話するとなると時間がかかる上、労力や費用も発生しますが、SMSならアンケートを一斉送信できます。また、電話だと出てもらえないことがあっても、SMSなら直接のやり取りを避けられるため、気軽に回答してもらえる可能性も高まります。

配送や工事日程等の日程調整

配送や予約などのスケジュール調整や確認にも、SMSが便利です。メールの場合、日程を確認するために何往復もやり取りする必要があり、工数が増えてしまいます。電話連絡もできますが、つながらない場合はかけ直さなければならず、業務負担が増えることもあるでしょう。

SMSの本文にスケジュール確認フォームのURLを添付し、都合の良い日時を回答してもらうだけで簡単に日程調整が可能です。仕事などで忙しく連絡が取れない相手ともスムーズなやり取りが実現します。

具体的な活用事例としては、荷物の配達や電気、インターネット回線の工事などです。アルバイトのシフト管理のために、1人ひとりの出勤可能日をSMS経由で回答してもらうという使い方もできます。

ユーザー状況の把握

顧客1人ひとりの現状に合わせて展開するようなサービスでは、SMSアンケートを通して、顧客の現在の状況を把握することが可能です。メールよりも到達率や開封率が高いSMSなら、アンケート回答率を高めることができ、工数削減にもつながります。

商品・サービスについて問い合わせがあったものの、電話やメールで反応のない顧客に対してもSMSを送信すれば、検討状況のヒアリングをスムーズに実施できます。

例えば、エステサロンや美容室でしばらく来店のない顧客に対し、現在の状況やお悩みをヒアリングするためにSMSを送信するといった使い方が可能です。

アンケートにSMSを活用した事例

ここからは、実際にアンケート調査にSMSを導入した企業事例を紹介します。アンケートの活用方法や導入後の変化などをまとめて説明しますので、自社での活用を検討するために参考にしてください。

明治安田生命保険相互会社様

明治安田生命保険相互会社では、顧客の声を集める目的でSMS活用を開始しました。顧客応対窓口であるコミュニケーションセンターでは、オペレーターの対応品質を測定するためのアンケートに、より効率的な収集が期待できるSMS送信サービスを導入。

アンケートの回答率は20%と期待値の倍以上の数値を達成し、従来までの郵送アンケートで課題だった回答率の低さも解消されています。また、入電データとアンケート結果の紐付けにより、顧客の満足・不満につながるオペレーターの応対を具体的に分析できるようになり、効率的な改善につながっています。

さらには、SMS導入効果が社内で評判を呼び、後に「事務サービス・コンシェルジュによる訪問型サービス」の顧客満足度アンケートにも取り入れられました。訪問サービスでは、50%以上ものアンケート回収率を実現しています。

SMS活用により、対面サービスの品質向上を目指す上で重要なヒントとして回答内容を活用できていると話しています。

SOMPOひまわり生命保険株式会社様

SOMPOひまわり生命保険株式会社では、コールセンターのお客さまアンケートについて、音声ガイダンスの聞き取りにくさや回答時間の長さなどの不満の声が、顧客から挙がっていました。アウトバウンド業務ではSMS自動送信サービスを使っていたものの、一斉送信のみで個別配信ができない点など不便な点を解消したいと考えていました。

そこで、個別送信や半匿名化などセキュリティ基準が高く、多機能なSMS送信サービスへ変更。オペレーター通話の終了後、すぐにWebアンケートURLをSMSで送付するようにしたところ、回答率が約10%アップし、フリーコメントも増加しました。

また、既存顧客のアフターフォローとして、SMSで保険分析の要件とアポイント日時確認アンケートのURLをSMSで送ったところ、1ヶ月の有効通話率が約10%上がっています。

他にも、申込書到着のお礼や契約成立のお知らせ、契約確認事項の書面返送やフォローアップなど、さまざまな事務業務でもSMSが活躍しています。

サントリーウエルネス株式会社様

サントリーウエルネス株式会社では、コンタクトセンターでの顧客満足度アンケートにSMSを導入しました。これまではがきで行っていた調査をSMSに置き換えることで、アンケート回収件数の大幅な向上とコスト削減を実現しています。

導入前は、郵送による回答回収率の低さやコスト負担、リードタイムの長さが課題でした。しかし、SMS導入により、回答件数は従来の約5倍に増加。さらに、送信から受信までのタイムラグがなくなったことで、顧客の記憶が新しいうちにフィードバックを得られるようになり、より具体的な内容を把握できるようになりました。

SMS導入に際しては、顧客の年齢層(主に60代以上)への配慮から、慎重なテスト送信を実施。懸念されていたスパム認識や誤解も起こらず、スムーズに本格導入へと移行できました。さらに、送信内容にフリーダイヤルやURLを短縮せずしっかり記載することで、顧客からの問い合わせも減少しました。はがき1通あたりのコストと比較して大幅なコストダウンに成功しています。

同社では現在、電話対応後の満足度調査にSMSを活用し、オペレーターへのフィードバックや応対品質の向上に役立てています。今後はアンケート以外の業務にもSMSを活用し、顧客接点のデジタル化と顧客体験の向上をさらに推進していく予定です。

SMSによるアンケートの回答率を上げるための工夫

SMSを活用することで、アンケート回答率の向上が期待できます。とはいえ、他の手段からSMSに移行するだけでは、適切な回答を得られない可能性もあります。

サービス品質の改善や顧客満足度の向上などに向けた、重要な情報を収集するためにも、回答率を上げるための対策を行うことが大切です。ここでは、SMSアンケートの回答率を上げるためにできる8つの対策法を紹介します。

設問数は必要最低限に絞る

アンケートの回収率を高めるには、回答者の負担をできるだけ軽減することが重要です。設問数が多いと、途中で離脱されてしまうリスクが高まります。そのため、アンケートの目的を明確にし、本当に必要な情報だけに絞って設問を設計しましょう。

シンプルで回答しやすい設問を意識する

設問内容は、わかりやすく・答えやすくすることが基本です。記述式よりも選択式の設問を中心にすることで、回答にかかる手間や時間を短縮できます。たとえば、二択〜四択程度のシンプルな選択肢を用意すると、スムーズな回答につながりやすいです。また、曖昧な聞き方は避け、具体的かつ簡潔な表現を心がけましょう。

モバイルフレンドリーな入力形式にする

SMS経由でアンケートにアクセスするユーザーの多くはスマートフォンを使用しています。そのため、アンケートフォームはスマホでの表示や操作に最適化された「モバイルフレンドリー」な設計にすることが重要です。

具体的には、レスポンシブ対応のWebフォームを使用し、指でも押しやすいボタンや選択肢を配置しましょう。タップ一つで回答を始められるシンプルな導線が、回答完了率を大きく左右します。

配信のタイミングを考慮する

アンケートの配信タイミングも、回答率に影響します。アンケートの目的や送信先のユーザー層のライフスタイルなどによって適したタイミングは異なるため、スマホを操作しやすい時間帯を狙うと良いでしょう。

例えば、セミナー終了後のアンケートは、セミナー直後に配信するのが理想的です。受講者の記憶が鮮明なうちに送っておけば、アンケートに回答しやすくなります。また、会社員であれば、平日の夕方以降や土日、祝日などの休日だとSMSに気づいてもらえます。

設問数や所要時間をあらかじめ提示する

アンケートの設問数や回答にかかる時間をあらかじめ提示しておきましょう。どれだけの設問があるのか、どのくらいの時間で終わるのかなど、全体像がわからないと、ユーザーはストレスを感じてしまい、フォームを閉じてしまう可能性があります。

設問数や所要時間の目安などをあらかじめ明確にしておくことで、ユーザーが回答するハードルが下がるため、回答率アップにつながります。最近は、アンケートに答えていくと、途中で「50%回答済み」「あと8問」といったポップアップ表示が出るタイプのアンケートもよく見られます。

企業の情報やアンケートの目的を明記する

送信元やアンケートを利用する企業の情報や、アンケートの目的を明記することも重要です。実施企業がどのような企業か、何のためのアンケートなのか、といった前提事項がわからないと、ユーザーは不安に感じてしまうでしょう。
アンケートを作成する際には、企業情報や実施目的などを最初に明記することで、ユーザーは安心して回答できます。

アンケートフォームのURLを開く前に、こうした基本情報がわかると理想的ですが、SMSの場合は文字数に比例して料金が上がる点に注意が必要です。SMS内の説明は、簡潔でわかりやすくまとめるよう意識しましょう。

個人情報の取り扱いを明記する

近年、個人情報の漏えいや不正利用に対する関心が高まっており、ユーザーのプライバシー意識も年々厳しくなっています。SMS経由で届くアンケートに対しても、「本当に信頼できる調査か」「個人情報が勝手に使われるのではないか」といった不安を感じる人は少なくありません。

そのため、アンケートページ内やSMS本文には、個人情報の取扱い範囲と利用目的を明確に示すことが重要です。たとえば「回答は統計的に処理され、個人が特定されることはありません」「取得した情報はアンケート集計の目的にのみ使用し、第三者には提供しません」など、安心につながる表現を加えましょう。

回答のインセンティブを設定する

回答率を高めるための有効な施策の一つが、インセンティブ(謝礼や特典)の提供です。たとえば「アンケートにご回答いただいた方の中から抽選でギフトカードをプレゼント」など、回答者に何らかのメリットがある企画は、協力してもらいやすくなります。

ただし、過度なインセンティブは不信感を招くこともあるため、内容や金額はターゲット層やアンケートの目的に応じて適切に設計することが重要です。また、インセンティブの内容や受け取り方法についても、事前にわかりやすく伝えておくことで、安心して参加してもらえるようになります。

SMSによるアンケートの導入手順

ここでは、SMSを活用したアンケートを実施するための導入手順を紹介します。基本的なステップは以下の通りです。

  1. 目的とターゲットを明確化する
  2. SMS送信サービスを選定する
  3. アンケート内容の設計と作成を行う
  4. 本配信前にテストを行う
  5. アンケートを配信する
  6. アンケート結果の分析と改善を行う

ぜひ自社で導入する際の参考にしてください。

1.目的とターゲットを明確化する

まずは「回答者からどのような情報を得たいのか」といった目的と、ターゲットを明確にすることが重要です。たとえば、顧客対応の満足度を調査したいのか、新サービスに対するニーズを把握したいのかによって、設問の内容や配信のタイミングも変わってきます。

また、ターゲットとなるユーザー層の年齢や性別、職業なども考慮し、適切な文面や設問形式を選びましょう。目的と対象が曖昧なまま進めてしまうと、得られるデータの精度や活用価値が下がってしまうため、最初の企画段階でしっかりと方向性を定める必要があります。

2.SMS送信サービスを選定する

目的とターゲットが明確になったら、次に行うのがSMS送信サービスの選定です。多くのSMS配信サービスが存在しますが、到達率やセキュリティ、個別配信の可否、送信速度、API連携の有無など、目的に応じた機能や特性を比較することが大切です。

たとえば、大規模なアンケートであれば配信可能件数や配信速度が重要になり、個人情報を扱う調査ではセキュリティ対策が万全なサービスが求められます。実績やサポート体制も含めて、自社の運用に適したサービスを選びましょう。

3.アンケート内容の設計と作成を行う

SMSに記載されたURLからアクセスするWebアンケートは、スマートフォンでの回答を前提とした設計が求められます。そのため、モバイルフレンドリーなフォームや、回答しやすい設問構成を意識して作成しましょう。

特に回答率を高めるためには、設問数を絞り、記述式ではなく選択式の設問を中心に構成するのが効果的です。また、導入文や設問の言い回しにも注意を払い、対象者にとってわかりやすい表現を心がけましょう。

アンケートの作り方について詳しくは下記記事をご参照ください。

関連記事:アンケートはどう作る?作り方のコツを9ステップで解説

4.本配信前にテストを行う

アンケートの本配信を行う前に、必ずテスト送信を行って動作や表示の確認を行いましょう。本文の誤字脱字やURLリンクの誤り、アクセス先のページ表示の乱れ、スマートフォンでの操作性など、多角的な視点で確認することが大切です。

また、実際のユーザー層に近い社内関係者などに試験的に送信し、スパムと誤認されないか、内容が伝わりやすいかといった観点でフィードバックを得ることも有効です。

5.アンケートを配信する

テストを経て準備が整ったら、いよいよアンケートの本配信を行います。配信のタイミングや頻度は、ターゲットの生活スタイルやビジネスシーンに応じて調整しましょう。たとえば、電話対応直後に満足度調査アンケートを送信するなど、ユーザー体験と連動させることで回答率の向上が期待できます。

6.アンケート結果の分析と改善を行う

アンケートを実施したら、得られた回答を集計・分析し、今後の業務改善や施策立案に活用します。単なる数値データの集計だけでなく、自由記述欄の内容や傾向を読み解くことで、より深いインサイトが得られる可能性があります。

また、分析結果に基づいて設問内容や配信方法を見直し、次回以降のアンケートに反映させることも重要です。継続的に改善を重ねることで、回答率の向上や顧客満足度の改善につながっていきます。

より詳しい分析方法や改善の進め方については、下記記事をご参照ください。

関連記事:アンケートに有効な5つの分析方法|集計〜分析の流れや効果を高めるコツ

アンケート配信に活用するSMS送信サービスの選び方

SMSを活用してアンケートを配信する場合、目的に合ったSMS送信サービスを選ぶことが重要です。ここでは、特に重要な次のポイントについて解説します。

  • 機能
  • API連携
  • 接続方式
  • セキュリティ
  • サポート体制
  • 操作性
  • 料金プラン

機能

アンケート配信に適したSMS送信サービスを選ぶ際は、業務に必要な機能が過不足なく備わっているかを確認することが大切です。一斉配信はもちろん、送信予約や個別差し込み、URLの短縮、クリック計測、送信内容の承認機能、オプトアウト対応などがあれば、より効率的な配信が可能になります。

また、誤送信防止や受信者の利便性に配慮した機能が整っているサービスを選ぶことで、顧客満足度の向上にもつながります。自社の用途に合った機能が揃っているか、事前にチェックしておきましょう。

API連携

API連携とは、システム同士をつなげて自動的に情報をやり取りできる仕組みのことです。SMS送信サービスにおいても、API連携が可能なものを選ぶことで、アンケート配信を自動化したり、業務システムと連携させたりすることができます。

たとえば、特定のタイミングで自動的にSMSを送信したい場合や、顧客情報に応じてメッセージ内容を切り替えたい場合などに有効です。APIの提供有無だけでなく、仕様のわかりやすさや技術サポートの体制もあわせて確認しておくと安心です。

接続方式

SMS送信サービスには、「国内直収接続」と「国際網接続」の2種類があります。国内直収接続は、NTTドコモ・au・ソフトバンクといった国内キャリアと直接接続してSMSを送信する方式で、高い到達率と安定した通信が特長です。

一方、国際網接続は海外の通信回線を経由してSMSを送る仕組みで、導入しやすくコストも抑えられる傾向があります。ただし、国内の受信者の中には海外経由のSMSを受信拒否しているケースもあり、メッセージが届かないリスクがある点には注意が必要です。

国内向けのSMS配信においては、確実性を重視して国内直収接続のサービスを選ぶのが望ましいでしょう。

セキュリティ

SMS送信サービスでは、個人情報を扱うため、十分なセキュリティ対策が講じられているかの確認が必要です。通信の暗号化やアクセス制限に加え、ペネトレーションテスト(脆弱性診断)や不正アクセス防止策の有無も選定時のポイントになります。

サービスによっては、自社開発によるシステム運用、IPアドレス制限、操作ログの記録など、総合的な対策を講じているケースもあります。安心して運用するために、開示されているセキュリティ情報に目を通しておきましょう。

サポート体制

トラブルが起きたときに迅速な対応が受けられるかどうかも、SMS送信サービスを選ぶうえで重要な要素です。導入前のサポートだけでなく、導入後の運用支援や技術的な問い合わせ対応の有無を確認しましょう。

特に、送信エラーや配信不具合など、運用中に起こりうる課題にすぐ対応してもらえる体制が整っているかどうかは、業務の安定性を左右します。サポート窓口の対応時間や問い合わせ手段(チャット・電話対応の有無など)もあらかじめチェックしておきましょう。

操作性

SMS送信サービスは、実際に操作する担当者がスムーズに扱えるかどうかも重要なポイントです。たとえば、配信リストの登録や本文作成、送信スケジュールの設定などがシンプルな画面で直感的に操作できれば、業務効率が向上し、ミスも防ぎやすくなります。

トライアル版が提供されているサービスであれば、実際の操作画面や使用感を事前に確認するのがおすすめです。自社の業務フローや担当者のスキルレベルに合った使いやすさかどうかを、導入前にしっかり見極めましょう。

料金プラン

SMS送信サービスを選定する際は、料金体系もあらかじめ確認しておくことが重要です。初期費用や月額基本料に加え、SMS1通あたりの送信単価、送信数に応じたボリュームディスカウントの適用可否などを把握しましょう。

また、アプリ連携やオプション機能の利用に追加費用が発生するケースもあるため、必要な機能を洗い出した上で、総コストを試算することが大切です。想定される配信件数や利用期間を踏まえて、費用対効果を見極めましょう。

SMSのアンケートで回収率を向上させよう

アンケートは、さまざまな業種や目的で実施されますが、より多くの人から回答を取得してこそ効果的に活用できます。SMSは携帯電話の機種によらず標準機能として搭載されているため、幅広いユーザー層を対象としたアンケート調査に適しています。

また、ポップアップ通知が設定されており、受信した瞬間に気づいてもらいやすいため、Webアンケートフォームの回答率向上も期待できます。今回紹介したSMS送信サービス導入によるアンケート活用事例も参考に、自社におけるSMSアンケート活用を検討してみましょう。

NTTコム オンラインが提供する「空電プッシュ」は、高いセキュリティを備えた国内直収接続のSMS送信サービスです。短縮URL機能や差し込み機能など、アンケート調査に役立つ多様な機能を備えており、利用用途や配信数に適した利用方法をご提案できます。まずはお気軽にお問い合わせください。