ビジネスにおけるコミュニケーションツールとして、従来はメールを利用することが一般的でした。しかし、メールは送信してもなかなか相手に気づいてもらえないことが多いなど、デメリットも存在します。そこでメールに代わる手段として注目されているのが、SMSやチャットツール、SNS、グループウェアです。

この記事ではメールに代わるコミュニケーションツールのメリットや選び方のポイント、活用事例などについて解説します。実際の調査データから、消費者に好まれる企業からの連絡手段についても詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • メール以外のコミュニケーション手段には、SMS、チャットツール、SNS、グループウェアなどがある
  • NTTコム リサーチの調査では、企業からの連絡手段としてはメールやダイレクトメール、SMSのようにアクションが不要な連絡手段が好まれることがわかった
  • メール以外のツールは、シンプルに内容を伝えられることや連絡がスピーディにできることがメリット
  • とくにSMSは80%以上の人が「開封して内容を確認する」と回答しており、到達率や開封率に優れた連絡手段
API連携でSMS送信 NTT CPaaS 「SMS API」

企業の連絡手段として消費者が望む手段とは?

企業が顧客とどのようにコミュニケーションを取るべきかを検討するうえで、消費者が実際に望んでいる連絡手段を把握することは非常に重要です。

ここでは、NTTコム リサーチが実施した調査結果をもとに、消費者が企業とのやり取りにどのような手段を望んでいるのかを紹介します。

企業から連絡を受ける場合

「企業から受け取っても良いと思う連絡手段はどれですか?(複数回答可)」という質問に対して、最も多かったのは「Eメール」で69.5%でした。次いで「郵便・ダイレクトメール」が40.0%、SNSとSMSはいずれも30%前後という結果となっています。一方で、電話を選んだのは12.8%にとどまりました。

この結果から、消費者は返信や対応といったアクションが不要で、受け取りやすい手段を好む傾向が強いことがわかります。

消費者から企業へ連絡する場合

「自分から企業に連絡する場合はどの連絡手段が良いですか?(複数回答可)」という質問に対しても、最も多かった回答は「Eメール」で60.5%でした。次に多かったのは電話で37.8%と、消費者側からの連絡手段としては一定の需要があるといえます。

また、25.7%の人が「ウェブサイト」と回答しました。近年はホームページに問い合わせフォームを設置している企業も多く、ウェブサイトが顧客との重要な接点として活用されていることがわかります。

メールに代わるコミュニケーション手段とは?

メールの代わりに使用されるコミュニケーション手段としては、主に次のようなものがあります。

  • SMS
  • チャットツール
  • SNS
  • グループウェア

それぞれの特徴について詳しく解説します。

SMS

SMSは、携帯電話やスマートフォンに標準機能として搭載されているショートメッセージサービスです。電話番号を宛先としてメッセージを送信でき、アプリケーションのインストール作業や特別な設定も不要なため、誰でも気軽に利用できます。

また、受信した際には画面にプッシュ通知が表示されるため気づきやすく、メッセージの開封率が高いこともメリットです。一方で、携帯電話やスマートフォンからは基本的に一斉送信はできず、送信できる文字数にも制限があるため注意しなければなりません。

関連記事:SMSとは何か?ビジネス利用のメリットと効果的な使い方

チャットツール

チャットツールは、リアルタイムでメッセージのやりとりができるツールです。代表的なものとしてはSlackやMicrosoft Teams、Chatworkなどがあります。スムーズなやりとりが可能で、パソコンだけでなくスマートフォンでも利用できるため気軽に送信しやすい点が特徴です。ビジネスコミュニケーションを円滑に進められます。

また、チャネルを使い分けてプロジェクトやチームごとにコミュニケーションの内容を整理できる点もメリットです。一方で、導入する際には一定のコストや手間がかかるため、費用対効果を見極める必要があります。

SNS

FacebookやX、Instagramなどを代表とするSNSも、コミュニケーション手段として活用できます。最近では企業が自社のSNSアカウントを開設することが多く、マーケティングやブランディング、顧客とのコミュニケーションに利用されています。

SNSは投稿を通じて幅広いユーザー層にリーチできる点や、コメントやリアクション機能でリアルタイムのフィードバックを得られる点がメリットです。また、コンテンツの拡散力が高いため、キャンペーンやプロモーションにも効果があります。

一方で、不適切なコメントや投稿が拡散されるリスクがあること、運用には時間と労力がかかることがデメリットといえるでしょう。

グループウェア

グループウェアとは、社内のコミュニケーションを円滑にしたり、業務を効率化したりするためのツールを一元化したソフトウェアです。代表的なものとしてはGoogle WorkspaceやMicrosoft 365などがあります。

チャットや社内SNSだけでなく、カレンダー、ファイル共有、ビデオ会議など、さまざまな機能が搭載されています。社内の必要な情報にすぐにアクセスできるため、コミュニケーションがスムーズな点がメリットです。

一方で、導入コストやランニングコストが発生する点や、すべての機能を使いこなすためにはトレーニングが必要な場合がある点には注意する必要があります。

顧客への連絡にメール以外の方法を利用するメリット

顧客への連絡を行う際にメール以外の手段を利用すると、主に次のようなメリットが得られます。

  • シンプルに内容を伝えられる
  • 連絡がスピーディにできる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

シンプルに内容を伝えられる

メールの場合、冒頭の挨拶文や締めの文など、フォーマットが存在します。同じ人にメールを送信する場合でも、定型部分を省略しないことをマナーと認識している人も多いです。そのため堅苦しい印象になりやすく、用件までなかなかたどりつかないためもどかしく感じる場合もあります。

一方でメール以外のコミュニケーション手段は、定型文が必要ないためメールよりもカジュアルに情報を伝えられます。内容がシンプルに伝わり、会話をするような流れのため相手も返信しやすいことがメリットです。メールよりもコミュニケーションが円滑に進むでしょう。

連絡がスピーディにできる

メール以外のコミュニケーションは、伝えたい内容以外に決まり文句などを書き込む必要がないため、文面の作成をスピーディに行えることもメリットです。マナーもメールほど厳しくはないため、気軽に送信できます。

また、プッシュ通知機能によってメールよりも受信に気づきやすい傾向があります。受信者がメッセージにすぐに気づけば返信のスピードも上がるため、やりとりをスムーズに進めることが可能です。

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メールに代わるコミュニケーションツールの選び方のポイント

ここまでご紹介したように、メールに代わるコミュニケーションツールはいくつか種類があります。自社に導入するものを選ぶ際には、次のようなポイントをチェックしましょう。

  • 操作が簡単でわかりやすい
  • 顧客がスマホから利用できる
  • メッセージの履歴を残すことできる

それぞれ詳しく解説します。

操作が簡単でわかりやすい

コミュニケーションツールの操作が簡単でわかりやすいかどうかは、顧客にとっても自社の社員にとっても重要です。なかにはITツールの操作に慣れていない人もいます。操作がわかりにくければ、せっかく導入しても使われなくなってしまい、コミュニケーションツールの意味をなしません。

そのため、誰でも直感的に操作できる、使い勝手の良いツールを選びましょう。画面のわかりやすさも重要です。ツールの導入後は、マニュアルを作ったりトレーニングをしたりなど、フォローアップすることも大切です。

顧客がスマホから利用できる

パソコンからだけでなく、スマホから利用できるかどうかも重要なポイントです。顧客のなかにはパソコンを持っていない人もいます。しかし、スマホなら多くの人が持っているため、スマホから利用できることは必須条件といってもよいでしょう。

また、パソコンを持っていても、忙しい人は職場や移動中、家事の合間などにメッセージをチェックする場合が多いです。スマホからメッセージをチェックできれば、利便性が高く開封率や返信率も向上するでしょう。

メッセージの履歴を残すことできる

お互いのメッセージのやりとりを履歴として残せるかどうかもチェックしたいポイントです。後からやりとりを確認できれば、トラブルが起きた際に責任の所在を確認したり、認識の齟齬を防いだりするために役立ちます。

また、過去のやりとりを検索できる機能があればさらに便利です。顧客に対して同じ情報を発信するミスを防ぐことができます。過去のやりとりをもとに顧客のニーズを把握し、マーケティングや顧客対応の改善に活かすこともできるでしょう。

コミュニケーションツールとしてSMSがおすすめな理由

メール以外のコミュニケーションツールのなかでも、とくにおすすめなのがSMSです。その理由として、次のような特徴が挙げられます。

  • 携帯電話番号で連絡できる
  • アプリのダウンロードや会員登録が不要
  • 到達率・開封率が高い

それぞれ詳しく解説します。

携帯電話番号で連絡できる

SMSは、携帯電話番号さえ知っていればメッセージを送信できます。メールもメールアドレスを知っていれば送信できますが、メールアドレスは電話番号と違い変更される可能性が高いでしょう。電話番号は変更される機会が少なく、携帯電話会社を変更する場合でも、携帯電話番号ポータビリティ(MNP)により変更せずに利用できます。

SMSなら、顧客の宛先が不明になるリスクが少なく、長期的なアプローチができます。

アプリのダウンロードや会員登録が不要

SMSは携帯電話やスマートフォンの標準機能として搭載されているため、専用のアプリのダウンロードや会員登録は不要です。多くのコミュニケーションツールは利用開始前にダウンロードや会員登録などの準備が必要ですが、SMSなら手間をかけずに誰でも簡単に利用を開始できます。

また、ガラケーの場合でも利用できることもメリットです。導入のハードルが低く、わずらわしい作業が不要なため、顧客に受け入れられやすいでしょう。

到達率・開封率が高い

SMSは、ほかのコミュニケーション手段と比べて到達率と開封率が高いことが特徴です。いつも手元に持っている携帯電話やスマートフォンに直接届き、ポップアップ通知が表示されることから目に留まりやすくなります。

メールは受信ボックスでほかのメールに埋もれてしまい開封されないことも多いですが、SMSなら見落とされることが少なく、開封率やレスポンス率も高いです。顧客へ緊急の連絡や重要な通知を確実に届けたい場合、SMSは最適な手段といえるでしょう。回答率を上げたいアンケート調査などでも効果を出しやすくなります。

実際にNTTコムリサーチが実施した調査では、企業から届いたSMSを「開封して内容を確認する」と答えた人が51.9%にのぼり、LINEの22.8%、Eメールの30.6%、郵便のダイレクトメールの39.4%を大きく上回っています。加えて「届いたSMSの80〜100%を開封する」と回答した人も40.8%に達し、EメールやLINEを上回る開封率でした。

さらに開封のスピードに関しても「届いたらすぐに開封する」が32.2%、「当日内に確認する」が49.2%で、実に8割以上が当日中に開封しています。EメールやLINEでは当日開封率が70%台にとどまるため、SMSの即時性や確実性が際立っていることがわかります。

コミュニケーションツールとしてのSMSの活用事例

最後に、コミュニケーションツールにSMSを採用した企業がどのように活用しているのか、実際の事例を紹介します。SMSの導入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

PayPay銀行株式会社

ネット専業銀行であるPayPay銀行様は、2019年に金融庁からマネー・ローンダリング対策の一環として継続的顧客管理を求められるようになりました。これは引越しなどによってお客様情報が変更になった際も、継続的な最新情報の確認が必要になります。

すべてのお客様にどう連絡を取るのか、その方法が課題となりました。これまでの郵送やメールでのアプローチでは宛先が変更されている可能性があり、リーチしきれないためです。

そこで、新たなアプローチ方法としてSMSの導入を決定しました。使いやすさや料金体系、営業担当者の反応からNTTコム オンラインが提供する「空電プッシュ」を導入。具体的な使い方としては、まずお客様情報の確認を依頼するメールを送付します。そこでメールに回答のないお客様や、メールアドレスが変更されて宛先不明になった方に対して、空電プッシュを通してSMSを送付します。

結果、メールでやりとりのできなかったお客様に対して再度SMSでアプローチできるようになり、メールと同程度の回答率も得られるようになりました。また大切な個人情報を扱ううえで、社員の操作ログを管理しやすいことも評価されています。

三井ダイレクト損害保険株式会社

個人向けの通販型自動車保険を取り扱う三井ダイレクト損害保険株式会社様は、お客様が非対面で気軽かつスピーディーに連絡が取れることを強みとしています。そのため、できるだけお客様との接点を増やすために、電話やメール以外の手段を模索していました。また、お客様と連絡が取れないことも多く、より反応率の高い連絡手段を求めていました。

そこで、費用対効果が高いSMSの導入を検討。セキュリティ要件を満たしており、スピーディに導入できることから、NTTコムオンラインが提供する「空電プッシュ」に決定しました。

導入後は主に契約関連書類の返送依頼やお客さまアンケートへの誘導、事故後のあらゆるご連絡などにおいて、電話のつながらないお客様に対して空電プッシュを通してSMSを送信しています。結果、車検証の返送率が45%から80%へ、お客さまアンケートの回収率が30%から40%にアップしました。

ほかにも保険料の着金のご連絡を速やかに案内したり、電話で話したあとに空電プッシュで情報を送ったりすることもできるため、お客様にも喜ばれています。

SMSの活用なら空電プッシュがおすすめ

ビジネスにおけるコミュニケーション手段は、メール以外にもSMS、チャットツール、SNS、グループウェアなどさまざまな種類があります。顧客への連絡手段として、なかでもおすすめなのがSMSです。SMSは電話番号だけでメッセージを送信でき、アプリのダウンロードや会員登録が不要で、到達率・開封率が高いことが特徴です。

法人でSMSを活用する場合、PCから個別・一斉送信のできるSMS送信サービスを利用しましょう。NTTコム オンラインが提供する「空電プッシュ」は、高い送信性能と圧倒的な到達率を誇る法人向けSMSサービスです。高いセキュリティでお客様情報をしっかり守りながら、大規模案件でも遅延なく送信できます。

音声ガイダンス(IVR)連携やなりすまし対策、誤送信防止など、さまざまなニーズに応える豊富な機能も搭載されているため、ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。