SMS(ショートメッセージサービス)は、到達率や開封率が高いことから、ビジネスに導入する企業が増えています。ビジネスでSMSを効果的に活用するために、CRMとの連携が有効ですが、セキュリティやサポート体制などを確認した上で導入することも大切です。
本記事では、SMSとCRMツールを連携する方法やメリット・デメリット、注意点について解説します。自社のCRMツールとSMSのビジネス活用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
- SMS送信サービスとCRMは、APIといわれるシステム同士をつなぎあわせる仕組みによって連携が可能で、CRM上でSMS一斉送信などの操作ができるようになる
- SMSとCRMを連携すると、マーケティング・セールス・カスタマサポート・業務連絡・督促など、さまざまな用途で活用できる
- CRMと連携できるSMS送信サービスを選ぶ際は、API連携のしやすさやサポートの充実度、セキュリティ対策の内容、料金体系などを確認する
目次
- SMSとCRMの概要
- SMSとCRMはAPIで連携できる
- SMSとCRMを連携させることでできること
- SMSとCRM連携による具体的な活用シーン
- SMSとCRMを連携するメリット
- SMSとCRMを連携する上でのデメリットや注意点
- SMSとCRMを連携する際のSMS送信サービスを選ぶポイント
- SMS送信サービス導入までのステップ
- SMSとCRMを連携して顧客対応を効率化しよう

SMSとCRMの概要

SMSとCRMツールの連携を検討するにあたって、まずはSMSとCRMの基本的な概要と特徴について押さえておきましょう。
SMSとは
「SMS(Short Messsage Service/ショートメッセージサービス)」とは、携帯電話番号宛にメッセージをやり取りできるサービスです。近年のMNPの普及により連絡先として変更が少なく、受信するとポップアップ表示されることから、Eメールなどに比べて高い到達率や開封率を誇ります。
また、スマホだけでなくガラケーにも対応しており、端末の標準サービスとしてインストールされているため、幅広いユーザー層にメッセージを送信できます。こうした背景から、ビジネスで利用する企業も増えています。
SMSの使い方やビジネスにおける効果的な活用方法については、下記記事もあわせてご覧ください。
関連記事:SMSとは何か?ビジネス利用のメリットと効果的な使い方
CRMとは
「CRM(Customer Relationship Management)」とは、日本語で「顧客関係管理」という意味の言葉です。CRMの広義の意味は、企業と顧客との間に良好な関係を構築、維持するための施策やマーケティング手法を指しますが、「顧客情報を管理、分析するツールそのもの」をCRMと呼ぶケースも増えています。
CRMを活用することで、顧客情報を元に、ニーズに合ったプロモーションを最適なタイミングで提供することが可能です。その結果、顧客満足度の向上や売上アップ、業務効率化などの効果が期待できます。
SMSとCRMはAPIで連携できる

SMSをCRMと連携する際には、通常APIと呼ばれるインターフェースを使用します。ここでは、APIの概要とSMS連携に必須であるSMS送信サービスについて解説します。
APIとは
「API(Application Programming Interface)」とは、アプリケーションやソフトウェアを、別のプログラムとつなぎあわせるインターフェースのことです。インターフェースとは、別々のものをつなぐ接点を意味する用語で、APIを活用することで、CRMを含むさまざまなシステムやアプリの連携が実現します。
自社システムに他社が開発したプログラムをAPI連携すれば、必要な機能を自社開発することなく利用できるようになります。APIを用いてCRMとSMSを連携させることで、CRM上でSMSの一斉送信や自動送信などの操作が可能です。
SMS送信のAPI連携について、下記記事でより詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:SMSの自動送信にはAPI連携が必要!活用法やポイントを解説
SMS送信サービスとは
SMSをビジネスで使う際には、一般的に「SMS送信サービス」を導入します。SMS送信サービスとは、SMS認証や顧客への連絡などさまざまな目的で、SMSを効率的に送信するための法人向けサービスのことです。
SMS送信サービスでは、一斉送信や予約配信、送信結果確認などの多彩な機能を利用できます。また、SMSの1日ごとの送信上限数がなく、一度に多くの顧客に配信することも可能です。
個人のSMSのやり取りは、スマホやガラケーなどの携帯電話端末から行う必要がありますが、SMS送信サービスならパソコンから操作でき、顧客リストから特定のユーザー層だけにメッセージを送る作業も効率的に行えます。
SMSとCRMを連携させることでできること
SMS送信サービスの中には、CRMとの連携に対応したものも多く提供されています。これらを活用することで、次のようなことが可能になります。
- CRMの画面からSMSを送信する
- CRMで構築したワークフローにSMS送信を組み込む
- CRMに登録された社名や担当者名などの情報をSMS本文に自動で差し込む
- SMSの送信処理状況などをCRMの画面上で確認する など
このほかにも、予約送信や長文メッセージ、短縮URLの挿入、定型文の登録といった機能が利用でき、SMS送信サービスの活用で通常のSMSでは難しい高度な運用も実現できます。
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SMSとCRM連携による具体的な活用シーン
SMSとCRMを連携させることで、さまざまな業務でSMSを効果的に活用できるようになります。ここでは、具体的な活用シーンを詳しく見ていきましょう。
マーケティング・販促・セールス
到達率や開封率の高いSMSは、マーケティング・販促・セールスなど、幅広く情報を届けたい場面で効果的に活用されています。具体的な活用シーンとしては、次のような例が挙げられます。
- キャンペーンやセール情報の告知
- 新商品やイベントの案内
- 限定クーポンやトライアルの案内
- アポイントメントの日程調整
- 商談後のお礼メッセージ
- 休眠顧客の掘り起こし など
カスタマーサポート・コンタクトセンター
顧客対応の現場でも、SMSは有効なコミュニケーション手段として注目されています。特に、電話がつながらない場合や、すぐに確認してもらいたい内容を伝えるには、確実かつスピーディに情報を届けられるSMSが便利です。
カスタマーサポートやコンタクトセンターにおける具体的な活用シーンとしては、以下のようなものが挙げられます。
- アンケートの送付
- 問い合わせのアフターフォロー
- FAQへの誘導 など
業務連絡・督促
社内外の関係者への業務連絡や、支払いのリマインドといった督促業務にもSMSが活用されています。SMSは見落とされにくく即時性が高いため、スムーズな情報伝達や対応の促進が可能です。
具体的には、以下のような活用シーンが挙げられます。
- 予約のリマインド
- 契約更新の案内
- 支払い期日の督促
- 欠便や欠航の連絡 など
SMSとCRMを連携するメリット

SMSとCRMを連携すると、次のようなメリットがあります。
- データを一元管理できる
- 到達率・開封率が高く、確実にメッセージを届けられる
- 業務の効率化につながる
- コストの削減につながる
- 本人認証に利用できる
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
データを一元管理できる
SMSとCRMの連携により得られるメリットとしては、データを一元管理できる点が挙げられます。自社ですでにCRMを利用している場合は、APIを使ってシステム連携を行うだけで、自社管理している顧客情報をそのままSMS送信に活用できます。
到達率・開封率が高く、確実にメッセージを届けられる
メールの場合だとメルマガなど他のメールに埋もれてメッセージを見逃されがちですが、着眼率の高いSMSなら重要な連絡を確実に顧客に届けることができます。
また、メッセージを見てもらえる可能性が高まることで、送付したクーポンの利用率が上がったり、予約リマインドによって無断キャンセルが減少したりと、施策の成果につながりやすくなるのもメリットです。
業務の効率化につながる
SMSとCRMを連携すると、業務の効率化につながるのもメリットです。例えば、CRMに登録された顧客情報をもとにSMSの一斉送信や自動送信を行えば、手動でメッセージを作成・送信する手間が省けます。
社名や担当者名といった情報をメッセージに自動で差し込むこともでき、対応スピードの向上と人的ミスの防止の両立が可能です。定期的な通知やリマインドなどの繰り返し業務も効率的に処理できるようになり、担当者の業務負荷を大幅に軽減できるでしょう。
コストの削減につながる
これまで電話や郵送で対応していた業務をSMSに置き換えることで、コストの削減が期待できます。例えば、支払い督促や予約リマインドなどの重要な連絡をSMSで送信すれば、通話料金や郵送費といった経費の大幅な削減が可能です。
さらに、SMS送信サービスを使えば短時間で多くの相手に一斉送信できるため、担当者の作業時間が短縮され、人件費の削減にもつながります。このように、コストと業務負担の両方を抑えられる点も、SMS活用の大きなメリットです。
本人認証に利用できる
本人認証とは、サービスの利用者が正当な本人であることを確認するための仕組みで、ログインや重要な手続きを行う際などに活用されます。SMSを用いた認証では、SMSでワンタイムパスワードを送信し、その入力を求めるケースが一般的です。
SMSは携帯電話番号を使用するためなりすましが難しく、信頼性の高い認証方法として多くの企業で活用されています。
SMSを用いた本認証の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:SMS認証で本人認証を確実に!SMSを活用するメリットや活用事例を解説
SMSとCRMを連携する上でのデメリットや注意点
SMSとCRMを連携する際には、以下の点に注意してください。
- 連携するのにリソースや工数がかかる
- 文字数制限がある
- 画像や動画は送信できない
- 送信する際にコストがかかる
- 特定電子メール法を守る必要がある
それぞれどのような点に注意すべきなのか、以下で解説します。
連携するのにリソースや工数がかかる
SMSとCRMのAPI連携には自社開発対応が必須であり、ある程度の工数やリソースを要します。そのため、専門知識やスキルをもつ人材をアサインする必要があり、場合によっては社外へ発注する必要も出てきます。
できるだけコストを抑えて、少ない手間で開発するためにも、効率的に開発を行えるシステムを選ぶことが大切です。
文字数制限がある
SMSには最大全角670文字という文字数制限があり、この制限を超えるとメッセージが複数に分割されて送信されます。特に、CRMと連携して社名や氏名などの項目を差し込む場合は、差し込まれる内容によって文字数が変動し、意図せず上限を超過してしまうリスクがある点に注意が必要です。
メッセージが分割されて読みづらくならないよう、送信前に文字数を確認し、簡潔でわかりやすい文面を心がけましょう。
画像や動画は送信できない
SMSはテキストに特化したコミュニケーション手段であり、画像や動画などのファイルを添付することはできません。そのため、HTMLメールのように視覚的な訴求ができない点は、SMSのデメリットのひとつといえるでしょう。
ただし、URLをSMS本文に記載し、WebサイトやLPなどのコンテンツへ誘導することは可能です。特に短縮URLを活用すれば、限られた文字数の中でも視覚的な情報を届けられます。
関連記事:SMSで短縮URLを活用しよう!メリットと代表的な活用シーン
送信する際にコストがかかる
SMSは、1通ごとに送信コストが発生する点に注意が必要です。料金はサービスや契約形態によって異なりますが、一般的には国内向けで1通あたり数円〜数十円程度が目安であり、文字数が多いほど料金は高くなります。
一斉送信や自動送信で大量に配信する場合には、それだけコストがかさむため、予算とのバランスを考えて運用しましょう。SMS送信サービスによっては大量送信で割引が受けられるケースもあるため、サービスごとの料金体系もチェックしておくと安心です。
特定電子メール法を守る必要がある
特定電子メール法とは、迷惑メールの防止を目的に、広告宣伝のための電子メール送信に一定のルールを定めた法律です。SMSにおいても、広告宣伝を目的とする場合はこの法律の対象となります。
例えば、あらかじめ同意を得ていない相手に対して一方的にメッセージを送信することは禁止されています。また、送信者の氏名や連絡先、配信停止の方法の明記も必要です。
違反した場合には行政指導や罰則の対象となる可能性があるため、事前に特定電子メール法の内容についても確認しておきましょう。
関連記事:特定電子メール法とは?罰則の内容と違反しないためのポイント
SMSとCRMを連携する際のSMS送信サービスを選ぶポイント
CRM連携に使うSMS送信サービスを選ぶ際には、API連携のしやすさやサポートの充実度、セキュリティ対策などをチェックしましょう。また、到達性の高い国内直収サービスを選ぶことも大切です。ここでは、CRM連携に向けて、SMS送信サービスを選ぶポイントについて説明します。
API連携がしやすいか
CRMとSMSを連携するために必要なAPIは、それぞれで仕様が異なります。また、自社である程度の開発作業は行う必要があるため、効率的にSMSの活用を始めるためにも、開発が簡単なサービスを選びましょう。
連携がしやすいかどうかは、開発元の企業に直接問い合わせる他、各サービスのホームページの事例でも確認できます。
国内直収のサービスかどうか
SMS送信サービスが国内直収であるかも重要なポイントです。国内直収サービスとは、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルといった国内の携帯キャリアが提供するネットワーク接続を使ってメッセージを送信する方法です。
海外の回線網を経由したSMSは迷惑メールとして処理される可能性があり、到達率が低くなる場合があるため注意が必要です。SMSの強みである到達率や開封率の高さを維持するためにも、国内直収のSMS配信サービスを選びましょう。
サポートが充実しているか
SMS配信サービス選びでは、サポートの充実度も大切です。設定や連携方法に関して不明点やわからないことがあっても、万全なサポート体制があればすぐに相談できます。
サービス導入時と運用中の両方で、専任担当によるサポートが受けられると理想的です。また、カスタマーサポート窓口の開設状況や連絡手段、連絡可能な時間帯も事前にチェックしましょう。外国製サービスの場合は、日本語対応の可否についても確認しておくと安心です。
セキュリティは万全か
SMS送信サービスでは顧客情報を扱うため、十分なセキュリティを備えているかどうかは特に重要です。万が一、第三者による不正アクセスがあり、情報漏えいが起きた場合、企業としての信用が損なわれ、最悪の場合は損害賠償請求の可能性も考えられます。
企業やサービスの実績に加えて、API連携機能を提供しているサービスのセキュリティ性も確認しておくと安心です。また、複数の社員が利用する場合には、アカウントごとのアクセス権限設定や操作履歴の確認といった機能も活用しましょう。
自社にあった料金体系か
SMS送信サービスには、主に「月額料金制」と「従量課金制」の2つの料金体系があります。
月額料金制は、決められた料金で一定数までのSMS送信が可能なプランで、安定した配信数がある企業におすすめです。一方、従量課金制は送信数に応じて料金が発生する仕組みで、不定期な配信や小規模な運用を行う企業に適しています。
自社の配信頻度や送信通数、利用シーンに合わせて、適した料金体系のサービスを選びましょう。
簡単に操作できるか
SMS送信サービスを選ぶ際は、操作性の高さも重要なポイントです。操作が複雑で使いにくいサービスは、現場の担当者に負担をかけ、運用の定着を妨げる原因になります。そのため、誰でも直感的に扱える操作性の高いサービスを選びましょう。
無料トライアルを提供しているサービスであれば、実際に操作感を確かめてみるのもおすすめです。
SMS送信サービス導入までのステップ
SMS送信サービスの導入をスムーズに進め、安定した運用を目指すには、段階的な準備が欠かせません。具体的には、以下のステップを順に進めましょう。
- 課題や導入目的を明確化する
- ツールを比較検討する
- テスト運用を行う
それぞれのステップで取り組むべき内容について、以下で詳しく解説します。
1.課題や導入目的を明確化する
SMS送信サービスを選定する際は、まず「なぜ導入するのか」「何を実現したいのか」といった課題や目的を明確にしましょう。例えば、「予約リマインドによるキャンセル防止」や「督促業務の効率化」といった具体的な目的を明らかにしておくと、自社に必要な機能が自然と見えてきます。
目的が不明確なまま導入を進めてしまうと、機能が過不足になったり、期待した効果が得られなかったりするおそれがあるため、注意してください。まずは現状の業務課題を洗い出し、それをSMSとCRM連携によってどう解決したいのかを整理することが大切です。
2.ツールを比較検討する
目的を明確にしたら、次に行うべきは複数のSMS送信サービスの比較検討です。前述の「SMSとCRMを連携する際のSMS送信サービスを選ぶポイント」を参考にしながら、自社に最適なツールを選定しましょう。
サービスによって、連携可能なCRMツールや管理画面の操作性、料金体系などは異なります。導入後に「必要な機能がなかった」「想定以上にコストがかさんでしまった」といったミスマッチを防ぐためにも、比較検討は丁寧に行うことが重要です。
3.テスト運用を行う
可能であれば、本格導入の前に無料トライアルを活用し、テスト運用を行うのがおすすめです。実際の操作感や使い勝手、業務フローへのなじみやすさなどを事前に確認できます。
また、テスト運用を通じて現場の担当者の反応を確認し、必要に応じて設定や運用体制を調整しておくことで、サービスのスムーズな定着にもつながります。運用開始後のトラブルを防ぐためにも、正式導入の前に段階的な活用を検討してみてください。
SMSとCRMを連携して顧客対応を効率化しよう
SMSとCRMを連携することで、効率的にユーザーにメッセージを届けられます。一斉送信や予約送信といった機能も使えるため、プロモーションやマーケティングにも役立ちます。
SMSとCRMをAPI連携させる際には、工数の少なさやセキュリティ性、サービスのサポート体制、そして国内直収サービスなどのポイントを確認することが大切です。
CRM連携可能なSMS送信サービスとして、NTTコム オンラインの「Karaden for Salesforce」がおすすめです。アプリインストールのみでSalesforceにSMS機能を追加でき、フロービルダーからの送信、Salesforce項目差し込み、送信状況確認など多彩な機能を簡単に利用できます。
API連携をご希望の場合は、ボイス、SMS、メール、IVRなどのコミュニケーションチャネルをSDK/APIで利用できる「NTT CPaaS|コミュニケーション・APIサービス」もご検討ください。
ご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。