近年、多くのアプリやオンラインサービスでは、本人確認にSMS認証を用いることが一般的になっています。携帯電話番号を使用するため手軽に認証できる一方、認証コードが届かないトラブルも少なくありません。この場合、登録やログインができないためにサービスを利用できず、ユーザーはストレスを感じるでしょう。また企業にとっても機会損失となるリスクがあります。
本記事ではSMS認証の概要から、認証コードが届かない原因と対策、課題を解決した事例まで詳しく解説します。SMS認証の導入を検討している、もしくはすでに導入しているものの課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- SMS認証とは?
- SMSに認証コードが届かない原因と対策
- SMSの認証コードが届かないときのチェックリスト
- 認証コードを入力する際の注意点
- 「認証コードが届かない」課題を解決した事例
- 認証コードが届かない原因にあわせた対策をしよう

SMS認証とは?

SMS認証とは、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を利用した本人確認の方法です。主にアプリやサービスの新規登録時やログイン時に使用され、ユーザーの携帯電話番号宛にSMSで届いたコードを入力することで本人確認を行います。
携帯電話番号はユーザー固有の情報であるため、不正アクセスやなりすましを防ぐことができます。またID・パスワードによる認証に加えて、もう一つの手段(SMS認証や認証アプリなど)を組み合わせる2段階認証ともなるため、セキュリティを強化するために有効です。
さらに携帯電話番号だけで受信・認証ができるため利便性の高さも特徴です。そのため、SMS認証は銀行やECサイト、SNSなど幅広いサービスで導入されています。
SMS認証について、詳しくは下記で紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:SMS認証とは?メリット・デメリットと導入方法を紹介
SMSに認証コードが届かない原因と対策

SMS認証にはメリットが多いものの、肝心の認証コードがSMSに届かず、次の処理に進めないトラブルもあります。
受信者側が原因になっているケースとしては、次のようなものが挙げられます。
- 電話番号を誤入力している
- 電話番号がSMSに対応していない
- SMS対応のプランに入っていない
- SMSの保存容量がいっぱいになっている
- MNPで携帯電話会社を変更したばかり
- 認証コードを複数回発行している
- 迷惑メール設定でSMSがブロックされている
- 端末のOSを更新していない
- 圏外や通信環境が不安定な場所にいる
- 機内モードになっている
- VPNを利用している
一方、送信者側の原因としては、以下があります。
- 送信する番号が間違っている
- 国際接続網を利用している
- SMS認証サービスに障害が発生している
それぞれ対策とともに解説しますので、参考にしてください。
受信者側の原因と対策
まずは、受信側が原因となっているケースについて詳しく見ていきましょう。
電話番号を誤入力している
SMSへ認証コードが届かない最も基本的な原因の一つが、電話番号の誤入力です。入力した電話番号が正しいか、桁数やフォーマットに誤りがないかを再確認しましょう。別の電話番号と勘違いして入力してしまっているケースもあります。また、登録済みの電話番号を変更した場合、古い番号が設定されたままになっていないかも確認しましょう。
電話番号がSMSに対応していない
一部の固定電話やIP電話、データ通信専用のSIMカードではSMSを受信できないことがあります。また、一部の法人契約回線では、セキュリティ上の理由でSMSの受信が制限されている場合もあります。
そのため、SMSが受信できる携帯電話の番号を使用しているかを確認しましょう。法人契約回線の場合は、管理者にSMS受信の可否を確認してみてください。
SMS対応のプランに入っていない
ほとんどの携帯キャリアでは標準でSMS機能が搭載されています。しかし、格安SIMなどを利用している場合、SMSを利用するためにオプション契約が求められることがあります。このようなオプション契約をしておらず、SMSに対応していない場合は、電話番号を入力しても認証コードを受け取れません。携帯キャリアのプランを確認し、対応していない場合はプランの変更を検討しましょう。
SMSの保存容量がいっぱいになっている
SMSの保存容量が上限に達していると、新しいメッセージを受信できないケースがあります。認証コードが届かない場合は、不要なメッセージを削除して容量を確保したうえで、再度SMS認証の手順を実行してみてください。
MNPで携帯電話会社を変更したばかり
MNPを利用して携帯電話会社を変更した直後は、一時的にSMSが利用できないことがあります。キャリアを変更してからSMSが届かないという場合は、契約中の携帯電話会社に問い合わせてみましょう。
認証コードを複数回発行している
短時間に複数回認証コードをリクエストすると、最新のコード以外は無効になり、入力しても認証に失敗することがあります。また、サーバー側でスパムと判断され、一時的にコードの発行が制限されることもあります。
認証コードのリクエストは短時間に何度も繰り返さないようにし、もし複数回行った場合は最新のコードを使用しましょう。もし認証に失敗したり、コードの発行が制限されたりした場合は、しばらく待ってから再試行してみてください。
迷惑メール設定でSMSがブロックされている
キャリアの迷惑メールフィルターの設定によって、SMSの受信を拒否する設定になっている場合があります。もしくは、登録していない送信元からのメッセージを拒否する設定になっているかもしれません。
迷惑メールフィルターの設定を確認し、SMSをブロックしていないかを確認しましょう。特定の番号のみ拒否する設定になっている可能性もあるため、一度「すべて受信する」などの設定にしてみると受信できる可能性があります。
また、iPhoneの場合、着信拒否に設定した番号からは電話だけでなくSMSも受信できなくなります。iPhoneを使っている人は、着信拒否設定についても確認してみてください。設定アプリの「アプリ」から「メッセージ」を選択すると、ブロックした連絡先が確認できます。
端末のOSを更新していない
利用しているスマートフォンの端末で古いOSを使用していると、SMS認証システムと互換性がなく、正常にメッセージを受信できないケースがあります。
OSのバージョンを確認し、古い場合は最新バージョンに更新しましょう。更新後にスマートフォンを再起動し、再度SMS認証を試してみてください。
圏外や通信環境が不安定な場所にいる
SMSはインターネットではなく電話回線を利用するため、電波が弱い場所(地下、建物内、山間部など)では受信が遅れたり、届かなかったりすることがあります。Wi-Fiがつながっていても受信できない可能性はあるため、注意しましょう。
電波障害が起こっていないか確認し、電波の悪い場所にいる場合は電波の良い場所へ移動してみてください。
通信障害が起きている
契約中の携帯電話キャリアで通信障害が発生すると、SMSを受信できなくなることがあります。
「いつもは問題なく利用できるのに、突然認証コードが受信できなくなった」という場合は、利用中のキャリアの公式サイトや公式SNSアカウントをチェックし、通信障害に関するお知らせが出ていないか確認してみましょう。SNSでキャリア名と「障害」や「トラブル」といったキーワードを使って検索してみるのもおすすめです。
通信障害が実際に発生していた場合は、復旧まで待つしかありません。復旧後に再度SMS認証を試してみましょう。
機内モードになっている
スマートフォンの機内モードがオンになっていると、電話回線が完全に遮断されるため、SMSの受信もできなくなります。意図せず機内モードを有効にしてしまっていることもあるため、注意しましょう。
スマートフォンの設定を確認し、機内モードがオフになっているかを確認してください。一度オンにしてから再度オフにすることで、通信環境がリセットされ改善されることもあります。
VPNを利用している
会社や自宅などでVPN(Virtual Private Network:仮装プライベートネットワーク)を使用している場合、一部のサービスでは不正利用防止のため、SMSの送受信が制限されることがあります。特に金融機関やセキュリティの厳しいサービスでは、制限されることが多いです。
VPNを一時的にオフにしてから、再度認証コードをリクエストしてみてください。
送信者側の原因と対策
続いて、送信者側の原因と対策を紹介します。
送信する番号が間違っている
送信する電話番号の誤りは受信者側の問題と思われがちですが、送信者側でも事前に対策を講じることは可能です。
例えば、電話番号の入力フォームに「正しい番号をご確認ください」といった注意喚起のメッセージを表示したり、ユーザーに対して定期的に登録情報の見直しを促したりすることで、SMSの不達リスクを軽減できます。
国際接続網を利用している
SMSを送信する際に国際接続網を使用するSMS送信サービスを利用している場合、一部のメッセージが国内の携帯キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンクなど)に届かない場合があります。セキュリティ対策の強化により、国内キャリアが海外経由のSMSをブロックするケースが増えているため、認証コードのように確実な送信が求められる場合は注意が必要です。
事業者側の対策としては、国内直収接続のSMS送信サービスを利用しましょう。
SMS認証サービスに障害が発生している
SMS認証サービスを利用している場合、そのサービス自体に障害が発生している可能性があります。こうしたケースでは、基本的に障害の復旧を待つしかありません。このようなトラブルを避けるために、安定性が高くサポート体制の整ったSMS認証サービスを選びましょう。
SMS認証サービスの選び方については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:SMS認証サービスの選び方・比較のポイントと活用事例を解説
SMSの認証コードが届かないときのチェックリスト
ここまで紹介してきた原因と対策を、以下のチェックリストにまとめました。SMSの認証コードが届かないときは、順にチェックしてみてください。
【受信者側】
- 入力した電話番号が間違っていないか
- 利用中の電話番号やキャリアのプランがSMSに対応しているか
- SMSの保存容量がいっぱいになっていないか
- MNPでキャリアを乗り換えたばかりではないか
- 認証コードを何度も発行していないか
- 迷惑メールや受信拒否設定によってブロックされていないか
- 端末のOSが最新になっているか
- 圏外や通信環境が悪い場所にいないか
- キャリアの通信障害が起きていないか
- 機内モードになっていないか
- VPNを利用していないか
【送信側】
- ユーザーが入力や登録している電話番号が正しいか
- 国債接続網を利用していないか
- SMS認証サービスに障害が発生していないか
また、多くの場合、SMS認証を利用しているサービスでは認証コードが届かない場合の対処法について以下のように公式サイトで紹介しています。困ったときは、各サービスの公式サイトもチェックしてみましょう。
Yahoo! JAPAN「SMS認証ができない時の確認事項」
PayPay「SMS認証コードが届かない」
AEON CARD「認証コードのSMSが届かず、ご本人さま確認ができない場合はどうすればいいですか。」
認証コードを入力する際の注意点

前章で解説した対策を行い、無事に認証コードを受信できたら、次に重要なのは正しく入力することです。認証コードの入力を誤ると、再送信の手間がかかるだけでなく、一定回数間違えるとロックがかかる場合もあります。特に金融機関やセキュリティの厳しいサービスでは、認証に失敗すると一定時間ログインできなくなることがあるため、慎重に入力しましょう。
認証コードを正しく入力する
認証コードは通常、ランダムな数字や英数字の組み合わせで構成されており、一文字でも間違えると認証が通りません。
ユーザー側は入力ミスがないように、コピー&ペーストを利用しましょう。特に数字と英字が混在する場合、見間違いによるミスを防ぐために効果的です。「0(ゼロ)」と「O(オー)」など、視認しづらい文字が含まれている場合はより注意してください。
また、コピー&ペースト時に不要なスペースが追加されてしまうこともよくあります。特に入力欄の最後に余分なスペースが入ることが多いため、送信前に確認しましょう。
有効期限内に入力する
認証コードには有効期限が設定されており、期限を過ぎると無効になります。有効期限内に入力できないと新しいコードを再発行する必要があり、短時間で再発行を繰り返すとアカウントのロックや制限がかかることがあるため注意しなければなりません。
このような事態を防ぐために、認証コードを受け取ったらすぐに有効期限を確認しましょう。SMSで受信したメッセージには通常「○○分以内に入力してください」などの記載があります。ほかの通知に埋もれないよう、受信したらできるだけすぐに入力することも重要です。
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「認証コードが届かない」課題を解決した事例
カーエレクトロニクス用品やオーディオ、無線通信などの製品やサービス、ソリューションを幅広く展開している株式会社JCVケンウッド様は、タクシー配車システム「CABmee」を提供しています。
「CABmee」はタクシー事業者様に導入していただくメンテナンスフリーのフルクラウド型配車システムで、大手を含む多くのタクシー会社に導入されています。同サービスリリース当初から、SMS認証機能は組み込まれていました。ただ、当時利用していたSMS送信サービスは、海外の基地局から送信されるものだったため、国内ユーザー様から「認証メッセージが届かない」といった声が多く届いていました。
そこでサービスの切り替えに踏み切り、NTTコム オンラインが提供するクラウド型SMS送信サービス「Karaden SMS API」を導入。Karaden SMS APIは国内最大規模のSMS送信プラットフォームである「空電プッシュ」の送信プラットフォームを使用することで、到達率は99%を誇ります。導入後はタクシー事業者様から「SMSが届かない」といった報告や相談はほぼなくなりました。
新規導入されたクライアントも同様の状況なので、 Karaden SMS APIの導入によりSMS認証に関する課題はほぼ解決されています。安定して運用できているからこそ、状況確認のために時間や人手を割く必要が無くなりました。
認証コードが届かない原因にあわせた対策をしよう
SMS認証による本人確認は利便性やセキュリティの強度が高いため、多くのサービスで導入されています。ただし、認証に必要なコードが届かないトラブルも多く、対策が必要です。本記事で紹介した原因と対策を参考に、自社のSMS運用環境を見直してみてはいかがでしょうか。
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