損害保険会社様向けに高度なソリューションを提供するイギリス発のAI企業、Tractable株式会社様。2021年、災害などで損壊した建物の画像をもとにその修繕費用を算出するソリューション「AI Property」をリリースされました。リリースから約1年後、このソリューションに「空電プッシュ」を組み込んで、より使いやすく便利なシステムになるよう改良したといいます。なぜ空電プッシュを選択されたのか、具体的な使用方法や、その効果、導入の経緯などを、プロダクトチームの中氏、カスタマーサクセスチームの丸山氏にお聞きしました。
貴社の事業内容や特徴についてお聞かせください。
中氏:当社は、2014年にロンドンで生まれたAIスタートアップです。最大の特長が、損害保険会社様に提供するためのAIソリューションを領域特化的に手掛けているところ。 世界中の大手損害保険会社様と取引しており、日本でも、メガ損保4社を中心に多くの損害保険会社様にソリューションを提供しています。
早くからAI×損保に特化した研究開発を行ってきたためデータやノウハウが豊富で、また、優秀なAI研究者が多く在籍しているところが強みです。高い技術力、高度な人材、独自性のあるソリューション──。これらが評価され、2021年には、いわゆる「ユニコーン企業」(創業10年以内、未上場、評価額10億ドル以上のテクノロジー企業)に成長しました。
中様、丸山様の業務内容についてお教えください。
中氏:私はプロダクトチームに所属し、空電プッシュの導入、プロダクトへの組み込み、その他技術的なことを含め、AI Property発足時からあらゆる業務を担当しています。
丸山氏:カスタマーサクセスチームに在籍しています。損害保険会社での勤務経験を活かし、よりよいサービスを提供すべくお客様対応を中心とした業務を担っています。
貴社が提供しているAI Propertyに、空電プッシュが組み込まれているとお聞きしました。まずはAI Propertyの全体像についてご説明ください。
中氏:我々が提供しているAI Propertyは、台風などの自然災害で損壊した建物の画像をAIで分析し、瞬時に修繕費用を算出するソリューションです。
このソリューションが登場するまでは、被災したご契約者様が修理業者を探し、現地調査に基づいて見積書を準備いただく必要がありました。それを保険会社に送付し、さらに保険会社が保険金を算出してようやく保険金が支払われる、という流れが一般的でした。一方、我々のソリューションを使っていただければ、ご契約者様が損壊した建物の写真を撮って指定されたURLに送れば、それだけで、すぐに見積書が生成されるのです。数週間~数か月かかっていた見積書取得の工程や保険金の受取が、数日で完了できる。被災し、厳しい状況に置かれているご契約者様にとっても、一刻も早くご契約者様を復旧・復興を支援したい損害保険会社様にとっても役立つソリューションです。
AI Propertyのどの部分で、空電プッシュが使われているのでしょうか?
中氏:「損壊した建物の画像をアップするためのURL」を契約者様にお知らせする部分で空電プッシュを使っています。
実は、サービスがリリースされた当初は、URLをお知らせする機能はありませんでした。各損害保険会社様が、AI Propertyのポータルサイトに掲載されているURLをひとつずつコピペして、個社で契約しているSMS送信サービスなどを使って手作業で契約者様にお知らせしていました。
このやり方ですと、URLをお知らせするのにとても大きな手間と時間がかかってしまいます。損害保険会社様からも「10件送るのも大変」という状況だと聞いており、「自動でURLをお知らせする機能が必要」「ワンパッケージですべての作業が完結するようなソリューションにしたい」と考えていました。
SNSやメッセンジャーアプリなどさまざまな連絡手段があるなかで、なぜ、SMS送信サービスを選ばれたのでしょうか?
中氏:SMSは携帯電話に新たにアプリを入れる必要がなく、手軽で、もっとも到達率が高いと判断したからです。また、既に多くの企業で使われており十分に実績があるというところも評価できると感じました。
空電プッシュの導入を決めた経緯や理由についてお聞かせください。
中氏:SMS送信サービスを組み込もうと決めてすぐに、「世界最大規模のクラウドプラットフォーマーが提供するサービス」、「米国のコミュニケーション系企業が提供するサービス」、そして「空電プッシュ」を比較検討しました。
3つのサービスを検討した結果、到達率がもっとも高かったのが空電プッシュでした。また、正しくない番号にSMSを送ってしまうとAPIの段階でエラーが返ってくる、到達率を確認できる機能があるなど、かゆいところに手が届くメニューが豊富なところにも魅力を感じました。グローバル系のサービスと比較して機能が揃っており、驚きました。
ほかに、なにか決め手になった点はありますか?
中氏:最大の決め手とも言えるかもしれませんが、既に多くの損害保険会社様で空電プッシュが使われていたという点も大きかったです。当社が提供するAI Propertyの画像アップロードURLを通知するために使用されているケースや、カスタマーサポートに使われているケースなど様々でしたが、とにかく多くの取引先が空電プッシュを導入されていました。
損害保険会社様での使用実績が十分にあり、信頼も厚い。損害保険会社様の厳しいセキュリティ要件を満たしているということで、とてもスムーズに機能の組み込みが進みました。
サービスのリリースから約1年後に、追加機能として空電プッシュを実装されたとのこと。効果についてはどうお感じになっていますか?
丸山氏:SMS送信機能が追加されたとき、私は損害保険会社様側でAI Propertyの活用方法を検討する立場だったのですが、画像アップのURLを送る手間と時間が1/10ぐらいに圧縮されたと感じました。手作業でURLをコピペしてSMSを送っていたときは、先ほど中が申し上げたように「10件送るのも大変」という状況だったのですが、これなら1,000件でも2,000件でも対応できる。台風などの災害が発生し、一気にやりとりが増えたときなども、契約者をお待たせすることなく対応できるのです。コピペの必要がなくなったことでコピペミスの心配もなくなり、本当にありがたい機能だと感じました。
API連携で、イージーかつシームレスに、自動でSMSを送ることができる。この点がとても素晴らしい。空電プッシュは、私たちのソリューションにとって必要不可欠なもの。「空電プッシュがなければそもそも製品がワークしない」と言ってよいほど強い存在感を示していると感じています。
最後に、今後の活用の展望についてお聞かせください。
中氏:空電プッシュが組み込まれたAI Propertyは、いまのところ国内の損害保険会社様のみに提供している状況です。海外向けのソリューションにSMS送信サービスを実装するのか、実装する場合、空電プッシュがよいのかについては、これから検討をしていきます。
また、AI Property以外にも空電プッシュを使えるシーンはないか検討していく予定です。まったく別のソリューション、別の事業で導入することも考えています。まだどのように使うか決まっていませんが、空電プッシュとともに、新たな事業機会や社会貢献の形を模索していきたいと思っています。
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