個人と企業間のSMSの利便性を高めるため、携帯各社が共通ショートコードの提供を開始しています。企業が共通ショートコードを使うことで、SMS受信時に表示される送信元番号が統一されるため、利便性や信頼性の向上が期待できます。ただし、コード取得には費用がかかるなどの注意点もあるため、SMS活用の目的や規模を踏まえて利用することが大切です。

本記事では、共通ショートコードの特徴や活用シーン、利用するメリット・デメリットなどについて解説します。

この記事の内容
  • 共通ショートコードとは、ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの携帯キャリア4社が管理する「0005」から始まる8~10桁の番号
  • ユーザー自身が共通ショートコードを検索し、発信元を確認できるため信頼性を維持しやすく、セキュリティ対策として有用
  • 共通ショートコードによりコミュニケーションツールとしての利便性が向上し、なりすましやフィッシング詐欺対策など、送信元の信頼性向上にも役立つ
  • 共通ショートコード取得には費用がかかり、折り返し番号としては利用できない
  • SMS送信サービスを利用して共通ショートコードを取得する際には、キャリアでの審査期間を考慮して計画的に申請することが重要
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共通ショートコードとは?

共通ショートコードとは、SMSの送受信に利用できる専用の番号のことです。「0005」から始まる8~10桁の数字列で、共通ショートコードを提供しているSMS送信サービス事業者と契約することで利用できます。

共通ショートコードは、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルの国内通信キャリア4社による審査を通過した企業にのみ発行されます。従来はユーザーのキャリアに応じてSMSの送信元番号が変わる仕様でしたが、共通ショートコードによりSMSを同一の送信元番号から送信可能です。

共通ショートコードはユーザーが検索できる

共通ショートコードは、ユーザー自身が番号を検索し、発信元の確認が可能です。ユーザーがメッセージを受信すると、一般的な電話番号ではなく、キャリア審査を通過した専用番号が表示されます。番号は、以下ページで調べられます。

SMS共通番号/共通ショートコード情報

不明な番号もすぐに調べられるため、不審なメッセージを見極めやすく、セキュリティ対策として有用です。また、企業にとっても送信元の信頼性を証明でき、顧客の安心感を高めることにつながります。

共通ショートコードが求められる理由

SMSの共通ショートコードが注目されている背景には、セキュリティ面の課題があります。

顧客への連絡手段として、金融機関をはじめさまざまな業界や企業でSMSが活用される中、SMSを悪用したフィッシング詐欺の増加が問題視されています。2023年8月8日に発表された金融庁の注意喚起によると、インターネットバンキングにおける被害件数は2023年上半期(1~6月)だけで2,322件、被害額は約30億円と過去最多を記録しています。

こうした状況を受け、SMSフィッシング詐欺の被害を食い止めるために2021年6月、携帯電話3社が「0005」から始まる共通ショートコードをスタートしました。(楽天モバイルは2023年1月より参画)

共通ショートコードは、携帯キャリア4社による審査を通過した企業のみに発行される送信番号であるため、個人のお客様は、なりすましではない企業のSMSメッセージとして、安心してご利用いただけます。

関連記事:フィッシング詐欺被害を防ぐ対策方法とは?消費者向け/企業向けに詳しく解説!

共通ショートコードの活用シーン

SMSは、開封率や到達率の高さから、本人確認や二段階認証といった手続き、企業から個人への連絡手段などとして利用されています。共通ショートコードを利用すれば、信頼性の高い送信元からのSMSだという裏付けとなり、活用シーンの拡大することも考えられます。

共通ショートコードの活用シーンとしては、主に以下が挙げられます。

  • 料金支払いの督促や重要事項の案内の通知
  • 比較的高価な商品・サービスのキャンペーン訴求
  • 予約確認や打ち合わせのリマインド
  • 訪問日時の在宅確認や再配達の依頼手続き

また、顧客との双方向のコミュニケーションを取るために共通ショートコードを利用すれば、関係性の構築に役立つことが考えられます。

共通ショートコードを利用するメリット

共通ショートコードを利用するメリットとして、SMSを利用したフィッシング詐欺の防止や、送信元企業の信頼性の向上が期待できます。ここでは、共通ショートコードのメリットについて詳しく解説します。

SMSによるフィッシング詐欺に有効な対策になる

共通ショートコードは、SMSのなりすましやフィッシング詐欺対策に有用です。SMSは、高い開封率や到達率を誇る連絡手段であり、多くの企業が導入した結果、SMSを悪用したフィッシング詐欺が多発し、被害額も増加しています。

そこで、顧客に対してあらかじめ「0005」で始まる共通ショートコードを案内しておくことで、なりすましによる被害を未然に防げる可能性が高まります。同時に、悪質なSMSを受信側が簡単に判別できるようになり、詐欺に騙されるリスクを回避することにもつながります。

関連記事:SMSを利用した詐欺に注意!代表的な手口と対策方法

企業の信頼性の向上につながる

共通ショートコードを使用できるのは、大手携帯キャリア4社による審査を通過した企業のみであり、通知に表示されることで信頼性の高い企業であるという証明になります。従来は、企業がキャリアごとにSMS用の携帯番号を取得する必要がありました。また、受信側もそれぞれの番号を認識する必要があり、SMSならではの利便性を十分に活かせていない状況でした。

その点、共通ショートコードだと、企業の番号が共通化されるため、キャリアによらず同じ番号が通知されるようになり、受信側の判別が容易になっています。

1つの番号で送受信ができる

従来、企業がSMSを利用する際は、キャリアごとに異なる番号を取得する必要があり、管理の手間が大きくなりやすい傾向にありました。また、ユーザー側も発信元の違いに混乱しやすい状況でした。

一方、共通ショートコードは、1つの番号で4キャリアすべてに対応できます。どのキャリアの携帯電話にも同じ番号から送受信できるため、管理の負担も軽減されるでしょう。ユーザー側も発信元を簡単に確認できる点で安心感があります。

双方向のコミュニケーションができる

共通ショートコードは、企業と顧客の間で双方向のやり取りが可能です。通知専用の片方向メッセージだけでなく、予約確認や本人認証など、ユーザーからの返信も受け付けられます。

また、状況に応じて柔軟に運用方法を管理、統合しやすいため、顧客対応の効率化にもつながります。双方向のコミュニケーションツールとして使い勝手が向上し、従来よりも高い開封率が期待できるでしょう。

共通ショートコードを利用するデメリット

共通ショートコードにより、より高い安全性や信頼性の確保が実現する一方で、デメリットも存在します。ここでは、共通ショートコードを使用する上で考えられる2つのデメリットについて解説します。共通ショートコードの導入を検討するために、押さえておきましょう。

共通ショートコードの取得に費用がかかる

共通ショートコードは、取得する際に費用がかかります。多くの場合、SMS送信サービスによるオプションとして展開されており、別途費用が発生するため、予算内で利用できるか事前に確認が必要です。

また、共通ショートコードを提供しているSMS送信サービスはまだ限られています。国内のSMS送信事業者に問い合わせておくと安心でしょう。

共通ショートコードに折り返しで電話することはできない

共通ショートコードは、折り返しの電話番号として利用できません。「0005」から始まる番号はSMS送受信専用であり、送信元の番号として表示されるだけです。そのため、SMSを見たユーザーが折り返し電話をかけてもつながらない点にも注意が必要です。

対策として、SMSの本文中に送信元番号がSMS専用の共通番号であることと、折り返し用の電話番号を記載しておくことで、ユーザーを正しい電話番号に誘導できます。

共通ショートコードを取得するための方法

ここからは、SMS送信サービスを利用して共通ショートコードを取得する流れを解説します。実際の細かな手順はサービスごとに異なる場合もありますが、基本的には以下のようなステップで手続きを行います。

  1. SMSの活用方法や予算を明確化する
  2. 共通ショートコードに対応しているSMS送信サービス事業者を選ぶ
  3. SMS送信サービスを契約する
  4. 携帯4社による事前審査を経て、承認を得る
  5. 共通ショートコードの利用開始

多くの場合、SMS送信サービス事業者に申し込みをした後は、審査の承認が降りるまで企業側で手続きや操作は必要ありません。SMS送信サービスの契約から利用開始まで数日かかる場合もあるので、前もって申請しておくと良いでしょう。

共通ショートコードの取得には「空電プッシュ」がおすすめ

共通ショートコードを使うことで、携帯キャリアによらずSMS送信時に表示される番号を共通化できます。「0005」から始まる共通番号により、送信元番号が統一されることで、より高い信頼性や安全性を確立できる上、SMS悪用によるフィッシング詐欺対策にも役立ちます。

共通ショートコードを利用するためには、対応可能なSMS送信サービスが必要です。NTTコム オンラインが提供する「空電プッシュ」では、2023年11月より共通ショートコードの提供を開始しています。なりすましやフィッシング詐欺に懸念をお持ちの企業のご担当者様は、共通ショートコードを提供しているSMS送信サービス「空電プッシュ」の導入をぜひご検討ください。