クレジットカードの「オリコカード」で広く知られるオリエントコーポレーション だが、オートローンや各種融資など、その事業領域は幅広い。当然、関連業務は多岐にわたるが、そのなかで共通しているのが、個人顧客との電話連絡を要する場面が多いことだ。
河西氏:「契約の最終意思確認や申込書類の不備などは、ご本人への確認が不可欠ですから。しかし、すぐには電話での連絡がつかず、数日がかりで幾度もかけ直すというケースが少なくありません。時間のロスは、当社側の業務が滞るというだけでなく、用件によってはお客さまの不利益につながる恐れもあります。このため、社内のCS向上委員会で解決策について議論していました。あるとき、参加しているメンバーが、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションさんを推奨してきたので、提案をお願いしました。ソリューションとしてご紹介いただいたのが『SMS送信サービス 空電プッシュ』でした。会社四季報に載っている同業の8割が類似サービスを導入していると聞き、驚きましたね」
こうして提案を受けたCS向上委員会では、導入を決定する。
ただし、世の中には類似サービスが多数存在する。決め手は何だったのだろう。
河西氏:「サービスのクオリティについて最も信頼を置けると判断しました。海外経由でSMS(ショートメッセージ)を送信するサービスも少なくないなか、NTTコム オンラインの空電プッシュは、国内の携帯キャリアに直接接続しています。携帯キャリア会社の判定機能なども含め、全て国内自社設備という安心感は大きいですね。当社では、無数の個人情報を扱うため、高い水準のセキュリティ対策が求められます。大手通信事業者の運用ノウハウも活かしている空電プッシュは、その点においても要求を満たすサービスでした」
空電プッシュの導入決定後、河西さんらは社内各部署に導入を打診したが、最初に手を挙げたのが督促業務を担当する管理企画部だった。導入効果について各部に情報共有したところ、次々と他部門も導入に乗り出し、現在では全5部門20以上のセンターで活用されている。以降で、各部門における活用例をご紹介していく。
残高不足で指定口座から支払額を引き落とせなかったという場合に、顧客に連絡を入れて早期入金を促すのが管理企画部のミッションだ。全社的な業績に直接影響するだけに、入金案内業務については、特にスピードと確実性が求められる。
小池氏:「月によって開きはありますが、入金案内は多い時で数万件も発生する場合があります。すべてに対して電話案内を実施するとなると、スタッフには多大な負担がかかるのです。個人的にも、同業他社との情報交換の場で、入金案内業務におけるSMSの有効性を聞いていたので、かねてよりぜひ導入したいと考えていました」
こんな背景から、管理企画部は社内でも先陣を切って空電プッシュを導入した。
当初は各支店100件ほどを対象に、個別にSMSを送信する形でスタートしたが、有効性が実感できたため、現在は顧客リストをもとに一斉送信しているという。
小池氏:「SMS送信後、10%程度のお客さまからは折り返しご連絡いただけるなど、効果のほどは、実感を伴う形ですぐに確認できました。遅延が発生したばかりのお客さまに限れば、返電率は16~20%で、より高い効果が確認できています」
さらに、通常の電話連絡以上の効果があることも発見したという。
小池氏:「折り返し連絡はないものの、メッセージを確認して問題を認知し、すぐに入金していただけたり、海外滞在中で通話はできないがSMSなら連絡可能というケースがあったりと、当初は想定していなかった効果も出てきています。一方で、空電プッシュ導入によるクレームやトラブルは、ほぼ発生していません」
以降、管理企画部では、SMSによる入金案内の対象を拡大して業務効率アップにつなげているという。
小池氏:「夜間の督促の連絡は貸金業法で禁止されています。そのため夜間帯の再送を防ぐ機能も活用しています。また、遅延金額が少額なお客さまには電話でなくSMSで連絡し、より緊急度の高いお客さまへの電話連絡にフォーカスするといった棲み分けも実施しています。その他にも、送信が必要な書類をお届けしたのに返送していただけていない方に注意喚起のメールを送ったり、変更手続きが必要なお客さまに対してWEB上で処理できることをURLとともにご案内したりと、現在では8パターンのケースで活用しています。今は当社からお客さまへの連絡専用ですが、今後は、お客さまから当社への問い合わせなどにも拡大していければと思っています」
オートローンやショッピングクレジットなどの利用者向け問い合わせ窓口には、月に数万件単位の電話がかかってくるという。
辻村氏:「全体の約40%を占めるのが、ローンの残債を一括返済したいというお申し出です。お客さまには返済金額をお伝えする必要がありますが、複雑な計算や検算が欠かせないため、いったん電話を切り、あらためてコールセンター側から折り返すことになっています。しかし、折り返しても連絡がつかないことがあるのはもちろん、催促のお電話をいただいてしまったり、金額や振込先口座番号が正確に伝わらず、後で余分な業務やお客さまのお手間が発生してしまったりと、多くの問題を抱えていたのです。空電プッシュは、こうした問題の大半を解消できる、理想的なソリューションでした」
事務部では2016年5月から『空電プッシュ』を導入。SMSによる連絡を希望する顧客に対し、返済金額や振込口座といった情報をSMSで送信するようになった。従前は必須だった折り返し電話が不要になるわけだ。また、必要な情報がテキスト化されるため、電話口でメモを取る必要がなくなる。聞き間違えによるトラブルがなくなるなど、顧客にとってもメリットを供与できた。結果、平均して1件あたり3分程度の時間短縮につながったという。
辻村氏:「再入電が減っているというのは、導入後すぐに実感しましたが、特に効果が大きかったのは、残債一括返済のお申し入れが集中する年度末です。3月単月のコールセンタースタッフの工数は、7~8時間も削減できました。その分、お客さまからのお電話に出られる件数が増えるので窓口機能の強化にもつながり、好循環が生まれましたね。SMSがきちんと届いたかを確認できる機能を活用しているため、ご案内が漏れることのないような丁寧な対応も実現できています」
空電プッシュ導入で大幅な業務改善を実現した事務部だが、担当業務ならではの課題もあるという。そのひとつが、送信内容の個別性の高さだ。
辻村氏:「ベースとする定型文はありますが、返済金額はお客さまによって異なります。このため、担当者が作成した文書を上席がチェックしてから送信する体制をとっていますが、現状のシステムでは同時処理できる件数が限られてしまいます。一度に多くの文面を一覧表示できるように改善できれば、チェック精度を維持したまま、さらなる効率化につなげられると思います」
空電プッシュはこの課題にも対応可能なので、さらなる効率化の実現に向けて貢献を続ける。
クレジットカードの審査・発券業務を進めるうえで、新規顧客からの申込書類に不備があった場合や、追加の確認事項がある場合は、電話による確認が不可欠となる。
山中氏:「電話で連絡がつかない方は日々増えるため、一定期間内に連絡を取れなかった場合は、確認事項などを書面にして郵送しています。電話をかけるための時間や労力だけでなく、郵送コストなどもかかり、大きな課題になっていました。また、昨今では、カード決済機能を備えたWEBサイトがサイバー攻撃を受け、個人情報が流出してしまう事案が発生しています。情報流出にともなうカードの不正利用が疑われるような利用明細を検知した場合は、当然、迅速なご本人確認を要します。すぐに連絡がつかない場合は仮処置としてカードを無効にしたうえで郵送にて通知しますが、やはり時間とコストがかかります。この業務についても、改善が喫緊の課題でした」
そこで、クレジットカードの新規申し込みに関する審査・発券業務を担当する部署、不正利用が疑われる場合の連絡を担当する部署の2セクションに、空電プッシュを導入。業務の性質上、電話連絡が基本だが、連絡がつかなかった際の補強措置として、SMSは大きな効果を上げている。
山中氏:「審査・発券業務における情報確認では、月間約2000件のSMSを送信し、そのうち約40%のお客さまから折り返しの連絡を頂戴できています。また、不正利用に伴うご連絡業務では、特に該当件数が多かった月で4500件のSMSを送信。60%近いお客さまから折り返していただけました。不正利用に伴う連絡については『早く知らせてもらえて助かった』という反響が多く、当社のカード事業の信頼性向上にもつながっていると思います」
SMS導入に伴い、オリエントコーポレーションのWEBサイト上では、利用しているSMSの送信元番号も公表。顧客自身が着信番号の発信元を確認できるようにしたことで、SMS連絡自体の信頼性向上にもつなげている。
導入は2016年9月だったが、効果のほどを確認できたことで、カード業務推進部では翌年6月に空電プッシュの対象業務拡大に踏み切っている。
山中氏:「決済代行会社の情報流出懸念に伴う対応で、対象のカード会員様には『重要なお知らせ』という通知を郵送しました。通知を確実にご覧いただいたうえで、書類のご返送や明細書などのご確認を実行していただく必要があるため、到着日を狙って空電プッシュにてフォローのSMSを送信することにしました。現在は、カードの一般お問い合わせ窓口業務を担当するセンターへの導入も検討しているところです」
オリエントコーポレーションでは、大学や専門学校などの学費納入をサポートする学費ローンも取り扱っている。しかし、申し込みは年度末と秋口に集中するため、すべてに対応しきれないという問題を抱えていた。
首藤氏:「学費ローンの場合、学校の指定口座や振込金額などの情報伝達に齟齬があると、入学が認められないなど、重大なトラブルに発展しかねません。このため、WEB上、または書類でお申し込みを受けた後は、ご本人への電話確認連絡が不可欠となります。しかし、繁忙期のお申し込みは、1日に300~400件にものぼります。こちらからの電話に出ていただけないと、その後のフォローが追い付かず、契約を締結できないまま終わってしまうことも少なくありませんでした。そもそも、お客さまは必要にかられてお申し込みになるわけですから、ニーズにお応えできていないという意味でも深刻な問題だったのです」
そんななか、2017年3月の繁忙期を視野に置いて空電プッシュの導入を決定した。
首藤氏:「電話がつながらなかった方を対象に、ご連絡を頂戴したい旨の定型文を一括送信する形で活用しました。返電率は70〜80%にのぼり、その大半がメッセージの送信から30分以内に反応してくださるなど、効果のほどは劇的でした。確認の連絡がとれていないお客さまの数が日増しに積み上がっていくのが従前のパターンでしたが、導入後は、日を追うごとに未連絡件数が減っていくという、まったく逆の現象が起きたのです。進学が決まってから学費の納付期限まではタイトになっていることが多いので、タイムロスを減少できる空電プッシュは、最適のソリューションでしたね」
首藤さんは、空電プッシュを学費ローン以外の割賦商品にも広げることで、成長戦略につなげられるのではないかという。
首藤氏:「学費ローンほど短期間に申し込みが集中する商品はありませんが、それでもご本人への電話確認が必須で、連絡がとれないまま機会を逸してしまっているケースは少なくないと思います。また、学費ローンへの導入では、未架電のお客さまの数が目に見えて減っていくことで、担当スタッフのモチベーションが高まりました。これは、内容を問わず多くの電話連絡業務に共通するはずです。他の商品に関しても、前向きに検討したいですね」
業務内容 | ||
督促業務 | カード利用に関する入金のご案内 | 反応率向上
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コールセンター 業務 |
オートローンやショッピングクレジットなどのご利用者向け問い合わせ | コールセンターの業務効率化
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クレジットカード 関連業務 |
クレジットカードの審査・発券 不正利用検知 |
反応率向上
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学費ローン業務 | 学費ローンのお申し込み問い合わせ | 反応率向上
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