ホーロー(琺瑯・ほうろう)という素材を、キッチン、お風呂、洗面、トイレなどの住宅設備に起用し、製造と販売を行うタカラスタンダード株式会社様。カスタマーセンターに電話がつながりづらいという状況を改善し、顧客満足度向上につなげるため、SMS送信サービスの「空電プッシュ」と、「モバイルウェブ」のビジュアルIVRを活用されています。今回は、同サービスの導入に至った背景や導入後の効果について、営業本部営業推進部CS推進グループの傍士(ほうじ)氏と田中氏に伺いました。
まずは傍士様と田中様の業務内容についてお聞かせください。
傍士氏:顧客満足度の向上を目指し、お客様の声を商品開発や品質向上に活かすための施策を検討するほか、アフターフォロー体制の構築などを推進しています。
田中氏:当社は東日本と西日本に一拠点ずつ、当社製品をご利用のお客様からのお問合せや修理を承る「カスタマーセンター」を構えています。お客様の声を次の商品開発やサービス改善に活かす役割を担う中では、「カスタマーセンターに電話がつながりにくい」というお声も多くいただいています。そこをどう改善していくかを、カスタマーセンターと協働して検討することも私たちの業務の一つです。
今回、カスタマーセンターの運営業務に際し、SMS送信サービスの空電プッシュと、モバイルウェブを導入されたとお聞きしました。どのような経緯で、導入に至ったのでしょうか?
田中氏:カスタマーセンターには、特に週明けや連休明けにお客様からかかってくる電話の数(=入電数)が多くなります。一方、週末は応答率が比較的高く、週明けの入電数に合わせてオペレーターの人数を増やすことは得策ではありません。そのため、そもそもの入電数や、一件あたりの応対時間を削減することで、電話がつながりにくい状況を改善する必要がありました。
カスタマーセンターへの問い合わせ内容は、修理の申し込みが多くを占めています。ですが、実際には修理の必要がなく正しい使用方法により問題が解消できる場合や、オンラインショップで部品を購入し、交換していただくだけで解決するケースも多くあります。
Webからも修理依頼の申し込みを受けているほか、商品の取扱い・お手入れ方法や動画を掲載したページなども公開しています。しかし、その情報にたどり着けず入電につながっていることも多く、適切なチャネルに案内さえできれば、お客様の早期解決につながり、入電数も減らせるのではないかと考えていました。
ちょうどその頃、カスタマーセンター全般の仕組みを更新するプロジェクトが動いており、入電数の削減方法についても議論する中で、当社の基幹システムを担当する開発ベンダーが空電プッシュを紹介してくれたことを機に、導入の検討をスタートしました。
導入の決め手となったのは、どのようなポイントだったのでしょうか?
田中氏:開発ベンダーからNTTコム オンラインの営業担当者の紹介を受け、課題について相談する中で、SMSを活用する空電プッシュと合わせて、当社が希望するWebサイトへ誘導が可能なビジュアルIVR機能を備えたモバイルウェブの提案をいただきました。空電プッシュに関しては、フリーダイヤルとの連携はもちろん、当社の基幹システムとAPI連携で簡単にSMS送信機能をシステムに組み込むことができる点が導入の決め手の一つでした。また、導入実績が非常に多いという点で信頼感もありました。
モバイルウェブに関しては、コスト面で当社の予算内に十分収まっていた点が大きく、さらにさまざまな用途のフォーム作成が可能な点もポイントでした。というのも当時、顧客満足度の向上に向け、お客様アンケートを実施したいと考えていました。モバイルウェブと同様の競合サービスはありますが、アンケート機能がオプションであったり、追加契約が必要なものが多かった印象です。モバイルウェブでは、メール配信機能やアンケートフォーム作成機能など、一つの契約でさまざまな使い方ができる点が大きなメリットだと感じました。
空電プッシュとモバイルウェブの導入にあたり、苦労されたことはありましたか?
田中氏:API連携は基幹システムを担当している開発ベンダーに構築してもらいましたが、特にトラブルなくスムーズに完了しました。テスト送信を行い、想定通りの動きをすることが確認できたため、本番稼働に移った形です。稼働後も、通信トラブルがなく、安心して利用できています。
現在の空電プッシュとモバイルウェブの具体的な活用方法をお教えください。
田中氏:空電プッシュとモバイルウェブを組み合わせる形で活用しています。具体的には、お客様の困りごとへの解決策を示したWebコンテンツや、担当者が頻繁に案内しているWebサイトへ直接遷移できるメニューのみで構成したページをモバイルウェブで作成しました。
そのうえで、カスタマーセンターへの入電時、自動音声ガイダンスの選択に応じてモバイルウェブで作成したページのURLをSMSで送信するケースと、オペレーターが受電後にCRMシステム経由で手動でSMSを送信するケースがあります。両ケースとも、SMSに記載されたリンク先のメニュー選択から該当のWebページに誘導することで、お客様の自己解決を促す形です。
導入効果についてはいかがでしょうか?
田中氏:現在、入電時にモバイルウェブで作成したページへ誘導するSMSを月に600件弱送信しており、約半数からは再入電がない状態となっています。つまり、月に約300件の削減ということで、年間で計算するとかなりの入電数削減につながっています。
傍士氏:オペレーターが電話を受けた際、これまでは、まず、パソコンやスマートフォンでタカラスタンダードと検索していただき、ホームページのどの部分を見て、どこのボタンを押すのかなど、誘導先までの動線を一つずつ口頭で説明していました。お客様が見ている画面が合っていれば良いですが、違う画面を見ている場合には、誘導先にたどり着いていただくだけでも5分以上が経過してしまいます。SMSで各コンテンツへのリンク先を送信すれば、適切な誘導先にたどり着くまでに1分かからないといっても過言ではありません。平均すると、1コールにつき約2~3分の削減になっています。
お客様側の負担軽減にもつながっているのではないかと考えています。
今いる人員で効率良く、問い合わせ対応の質を高めていくためには、1通話にかかる工数と時間を削減することはマストです。空電プッシュとモバイルウェブの導入による効果を見ると、今後のパフォーマンス改善にも大きな期待が持てます。
カスタマーセンタースタッフからの反応はいかがでしょうか?
田中氏:当社にはご高齢のお客様が多くいらっしゃいますが、SMSからモバイルウェブで作成したページのリンク先を開いていただくだけであれば、ご高齢の方にも気軽に操作していただけるため、スムーズにご案内できるという声が多く届いています。
また、これまではオンラインショップのURLなどを共有する場合、メールアドレスを取得する必要があり、電話口でお客様にアルファベットを一文字ずつ読んでいただくなど、両者にとってハードルの高い手順を踏んでいました。今は、スマートフォンで電話をかけてこられる方がほとんどで、入電があった時点で電話番号がわかっている状態のため、オペレーターがCRMを経由すればSMSを送信できる点も非常に好評です。総じて、案内時間が削減できて助かっているという声が多くなっています。
今後の空電プッシュとモバイルウェブの活用方針や展望について教えてください。
傍士氏:両サービスの機能について、正直まだ活かしきれていない部分もあると思っています。大きなところでは、オペレーターとの終話後にモバイルウェブによる顧客対応アンケートを実施し、さらなるサービス改善につなげていきたいですね。
田中氏:モバイルウェブのビジュアルIVRの画面はエンドユーザー向けに作成していますが、ホームビルダーや工務店、さらに社内への情報共有にも活用できると考えています。社内での活用も促し、業務効率化にもつなげられればと思います。
今も定期的にNTTコム オンラインの営業担当者とミーティングを実施し、他社事例の共有や使い方の提案をいただいています。その内容を当社の運用に落とし込み、活用幅を広げていきたいです。
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