北海道の南西部に位置し、本州からの玄関口である函館市に隣接している七飯町。古くから景勝地として知られる同町には、日本新三景にも選定された「大沼国定公園」をはじめ、雄大で美しい自然が広がっており、四季折々の風景が訪れる人々を魅了しています。そんな同町が2025年5月、主に郵送費の削減を目的として導入したのが、SMS送信サービスの空電プッシュです。今回は同町情報防災課情報管理係の鴇田氏に、導入の経緯や空電プッシュを選んだ理由について伺いました。
はじめに、鴇田様が所属する情報防災課の役割と、担当業務について教えてください。
鴇田氏:情報防災課は、「情報」と「防災」の2つの機能を担う課です。組織体制としては、情報システム関連の業務を担当する「情報管理係」と、災害対策をはじめ、防災行政無線、公用車の管理などを担う「防災車両係」で構成されています。
その中で、私は主にDX推進に関する業務を行う「情報管理係」の係長を務めています。具体的には、町の総合行政情報システムの管理や、職員が使用する電子・情報機器の管理、関連の業務などを担当しています。また、現在国を挙げて進められている自治体情報システム標準化に向けて、業者の委託や調整などの対応も行っています。
どのような課題から、SMS送信サービスを検討されたのでしょうか?導入のきっかけを教えてください。
鴇田氏:大きな課題としては、郵便料金の高騰による郵送コストの圧迫がありました。七飯町には約27,000人の町民がいて、国民健康保険の加入者への案内や税金の納付書、さらには各種行政手続きに関するお知らせなどを含め、年間で約10万通の通知を送っています。これまで町役場では、町民の皆さまに向けた各種お知らせ文書や通知、ハガキなどを基本的に全て郵送により対応してきました。しかし、2024年10月の郵便料金の値上げにより、1通あたりの郵送費用が上昇し、これまで以上に郵送にかかるコストの負担が重くのしかかるようになったのです。
さらに、郵便物が届いていたとしても、町民の方のご都合によってはすぐに開封・確認がされず、必要な情報がタイムリーに伝わらないケースも見られました。
このような背景から、町民の皆さまに必要な情報を迅速かつ確実にお届けするためには、従来の郵送手段に依存しない、新たな連絡手段の導入が急務であると感じていました。そうした中で、SMS送信サービスの存在を知り、サービスの導入に向けた検討を本格的に開始することとなりました。
数あるSMS送信サービスの中から空電プッシュを選んだ決め手を教えてください。
鴇田氏:複数のサービスを比較検討する中で、最終的な決め手となったのは、「NTTグループが提供している」という圧倒的な安心感でした。もともと当町では、防災行政無線のシステムとしてNTTグループの製品を導入していたこともあり、同グループの技術力やサポート体制に対して非常に信頼感がありました。町役場という公的な立場から、町民の皆さまに向けて情報を発信するうえで、サービス提供企業の信頼性や社会的な知名度は非常に重要でした。その点においても、NTTグループというネームバリューのある企業が提供していることは、導入を決定する際の大きな後押しとなりました。
また、到達率99.9%という高い通信品質も大きな魅力でした。町民の皆さまへ確実に重要な情報を届ける必要があるため、メッセージが届かないという事態は避けなければなりません。そうした中で、非常に高い到達率を実現されていることも、導入の後押しになったと思います。
加えて、実際に操作する職員の立場から見ても、UIのわかりやすさは大きな利点でした。シンプルで直感的な操作設計となっており、パソコン操作に不慣れな職員であっても容易に扱うことができます。SMSの送信は全てブラウザ上で完結するため、特別なソフトウェアのインストールや複雑な設定も必要なく、導入時の負担も最小限に抑えられました。実際にテスト配信を行った際から操作性の良さを実感しており、スムーズに本格運用へと移行できました。
現在はどのように空電プッシュを運用していますか?
鴇田氏:導入から2ヵ月ということもあり、現状は活用の幅が限定的なのですが、今後は活用の幅を広げていけたらと考えています。
現在は町有バスの運行許可通知への導入を進めているところです。七飯町では、町民の皆さまが地域活動や行事などで利用できるよう、町が所有するバスの貸し出しを行っています。これまでは、使用申請書を提出した団体様へ、ハガキで運行許可のご連絡を行っていましたが、その通知をSMSに置き換える運用を進めています。
SMSの導入後は、運行許可通知の送付方法として、ハガキとSMSのどちらを希望されるかを申し込み時に選択していただいていますが、最近はSMSを選択されるケースが増えてきています。SMSであれば、スマートフォンなどですぐに内容を確認できるため、申請者の方にとってもメリットが大きいと感じられているようです。
空電プッシュを導入したことによる効果を教えてください。
鴇田氏:空電プッシュの導入後、従来の郵送費用と比較して1通あたりの送信料が半額以下に抑えられ、大幅なコスト削減につながっています。コスト面での効果が目に見える形で表れており、導入のメリットを実感しています。
今後、空電プッシュをどのように活用していきたいと考えていますか?
鴇田氏:現在は運用面での確認などを進めている段階ですが、情報防災課以外の各課にもサービスの内容や活用方法について周知しており、町役場全体での活用拡大を視野に入れています。導入時に行った事前調査では、各課が持つ通知業務の中で、SMSを活用できそうな件数は年間約1万5,000通にのぼることが分かっています。通知業務にSMSを利用できれば、郵便料金のさらなる削減が見込まれるので、SMSという新たな情報伝達手段を庁内に浸透させ、今後もさらに活用していけたらと考えています。
また、単に郵送コスト削減の手段にとどまらず、新たな町の情報発信手段としての可能性も検討しています。現在、七飯町では情報発信の強化に力を入れています。現在は町公式ホームページやSNSなどを活用していますが、これらにSMSという新たなチャネルを加えることで、より迅速かつ確実に町の重要なお知らせを届ける体制を整えられればと思います。
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