国内最多の病床数を有する藤田医科大学病院様。高度な医療を提供する特定機能病院として、そして、地域の住民の命を守る基幹病院として、多くの患者さんを受け入れています。そんな同病院が、診察待ちの通知サービスとして導入したのが空電プッシュでした。なぜよくある専用デバイスやEメールではなく、SMS送信サービスを導入しようと決めたのか、活用の方法や、効果など詳しいお話を医療情報システム部の鈴木氏にお伺いしました。
まずは貴院の概要や特徴についてお教えください。
鈴木氏:当院は、愛知県豊明市に位置する特定機能病院です。25の標榜科と1,376床の病床数を有し、国内外の多くの患者さんに向けて、日々、高度な医療を提供し続けています。また、愛知県の高度救命救急センター、大地震など有事の際の基幹災害拠点病院にも定められている点も特徴と言えるかと思います。医療救護活動の要としての役割を果たすべく、現在、積極的に先端テクノロジーの導入や病院施設の強靭化を進めているところです。
鈴木様の業務内容についてお教えください。
鈴木氏:私の業務内容としては、おもに電子カルテシステムや、自動再来受付システム、診察待ち表示システムの運用管理を行っています。当部が管理するシステムは、薬剤システムや文書管理システムをはじめ50種類以上。これらの情報システムを10名の職員で、24時間365日、医療体制に支障ないようにしっかりと運用・保守を行っています。
2015年1月に、診察待ちの患者さんに順番が回ってきたことを通知するサービスとして空電プッシュを導入されたとお聞きしています。導入前の課題、検討のきっかけについてお教えください。
鈴木氏:当院は1日平均2,500~2,600人の患者さんが訪れる病院です。これだけ多くの患者さんがいらっしゃるわけですから、どうしても診察まで長い待ち時間が発生してしまいがちで……。診察自体に時間がかかってしまうケースや、予約時間より早くまたは遅れて患者さんがお見えになるケースもあり、なかなか時間通りにいかないということが続いていました。そこで導入したのが、診察待ち表示システムです。病院入口にある自動再来受付機で受付した際に発番された番号が診察室前のモニターに表示されるというもので、まずはこれで、診察の順番や、前にどのぐらいの方が待っているのかをお知らせするということを始めました。
ところが、患者さんから「順番がわかるのはいいが、ずっと待合スペースで待っているのはつらい」「カフェなどでゆっくり待てるようにしてほしい」という声が寄せられました。そこで、診察の順番が近くなったら患者さんに通知するようなシステムを導入しようという話になりました。
どのようなシステムを検討されたのでしょうか? SMS送信サービス以外に、なにか別の手段についてもお考えになりましたか?
鈴木氏:SMS送信サービスのほかに、専用デバイスで通知する方法、QRコードを読み込んでもらいEメールで通知する方法を検討しました。
専用デバイスの場合は、故障や紛失のリスクが避けられません。また、端末を回収したのちに消毒の必要があり、大きな人的負荷がかかります。さらに、多くの端末を新規で購入またはリースしなければならない点、メンテナンスコストがかかる点などがネックになり、導入を見送りました。
QRコードとEメールについては、検討を始めた2014年当時、まだスマートフォンの普及が十分とは言えなかった点、当時はQRコードを読み取るためにアプリをダウンロードしなければならなかった点が課題になり見送っています。
SMS送信サービスを導入しようと思われた理由についてお教えください。
鈴木氏:SMSであれば、専用デバイスが不要のためコストがかからず、アプリをダウンロードする必要もありません。なにより、簡単です。携帯電話番号さえこちらで把握できれば通知を送ることができますし、患者さん側で特別な操作をする必要もありません。当院の患者さんは年齢も広範であり、ITリテラシーもバラバラです。そのような状況であっても、ストレスなく、より多くの方にスムーズに使っていただくことができると考えました。
もうひとつの理由が、他院では採用されていない、当時としては新しい試みだったというところです。SNSやECサイトなどにおける登録やログイン時の2段階認証でよくSMS送信サービスが利用されているということは知っていましたが、医療施設で使われているという話は聞いたことがなく、差別化という意味でもぜひ導入してみたいと考えました。
そのような経緯で、自動再来受付機などのベンダーである株式会社メルスさんに「どこかよいSMS送信サービスはないか」とご相談したところ、空電プッシュをご紹介いただきました。
実際にどのように活用されているかお聞かせください。
鈴木氏:まずはメルスさんに自動再来受付機を、「再来の患者さんが受付機に携帯電話番号を入力すると、その番号が空電プッシュや電子カルテに共有され連動する仕組み」に改修してもらいました。
診察が近くなると、ルールに従って自動で診察室の場所情報と共に「診察が近づいております。診察室前へお越しください。」といった内容のSMSが送信されます。その後、医師が電子カルテに表示されている「呼び込みボタン」を押すと、「診察室にお入りください」という音声とともに診察室前にあるモニターに診察対象の患者番号が表示されます。
ほかに、同様の機能を薬剤部でも利用していまして、お薬が用意できたときにもSMSで案内が送信されます。
コロナの流行で少し運用が変わったとお聞きしています。どのようなねらいがあったのか、具体的にどう変更されたかについてお教えください。
鈴木氏:コロナでこれまで以上に密を避けなければならない状況になり、患者さんを分散させるため、空電プッシュを活用しようということになりました。
まずは、再来受付機で患者さんが任意に登録を行っていたのを、初診の窓口でも患者さん同意の上、医事課職員が登録できるように環境を用意しました。直接、通知サービスのご案内をするようになったため、登録率がグッと上がったように感じています。
また、当初は、自動再来受付機で受付を行うたびに、毎回、「通知サービスを利用しますか?」と画面上で合意を取っていたのですが、現在は、1回携帯電話番号を登録したら、あとは自動的にSMS通知を受け取るサービスが適用されるように変更しました。
社会情勢や利用状況などを見つつ少しずつ運用を変えており、現在も、よりよい活用の在り方を模索しているところです。
使ってみてどのようにお感じになっていますか? ご感想についてお教えください。
鈴木氏:ベンダーさんに改修や設定変更をお願いしたこともありますが、とにかく使いやすいと感じています。医師や看護師、事務スタッフへの説明なども1回で済み、みなさんすぐに使い方や仕組みを理解してくれました。トラブルらしいトラブルもなく、導入から約7年、とても安心して利用できています。
効果についてはいかがでしょうか?
鈴木氏:導入前は受付にいる職員のところに「いつ順番が回ってきますか?」「どのぐらい待ちますか?」と聞きに来る患者さんが多く、確認の負荷がかかっていましたが、この仕組みを導入したことで問い合わせが減ったと聞きました。
また、敷地内のカフェなどで診察を待つ患者さんが増えて、当初のねらい通り、密な状態が解消されていると実感しています。
診察待ちのお知らせ機能を検討している他院から「参考にしたい」「詳細を教えてほしい」と問い合わせが入ることもあり、注目されているなと思うことも……。現在の累計登録者数は2万人強。今後はもっともっと登録を増やして、患者さんの満足度、利便性を上げていきたいと思っています。
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