家賃や医療費用、介護費用、養育費の保証事業などを幅広く展開している株式会社イントラスト様。同社のコールセンターにおいて、家賃の支払いが遅れたお客様への状況確認や入金約束のために活用されているのが、双方向送信に対応したSMS送信サービス「空電プッシュ」です。事業拡大に伴い、人手不足が深刻化したコールセンターで、支払い約束をスムーズに行うための工夫や、人的コストの大幅な削減等の成果について、債権管理部のコールセンターでスーパーバイザー(SV)を務める中澤氏にうかがいました。
まずは中澤様の普段の業務内容と、その中での役割についてお聞かせください。
中澤氏:私は債権管理部のコールセンターに所属しており、家賃のお支払いが予定通りに行われなかったお客様への督促業務を行っています。コールセンターの拠点は私が籍を置く大阪と、東京の2カ所にあり、各地に約20名ずつ計約40名のオペレーターが、1日に合計で1,400~1,700件ほどの受架電業務を行っています。
私自身は、オペレーターによる一次対応では解決できなかったお問い合わせの受付をしたり、各社に問い合わせて回答したりするSVの役割を担っています。また、その日その日で連絡が必要なお客様に架電の優先順位をつけ、各オペレーターへのアサインや指示などを行うのも大事な業務です。
たとえば高額の滞納が発生しているお客様や、SMSではご連絡できない法人のお客様などは、優先的にオペレーターからの架電による連絡が必要な方になります。一方で、まずはSMSによるご連絡が適切な方もいるため、どのような方法・順番で連絡を行ったらよいかを判断する仕事です。まずはSMSでのコンタクトが適切と思われたお客様に、「空電プッシュ」を使って、SMSを発信する業務も私が行っています。
今回は、空電プッシュの代理店を務めていただいている株式会社クローバー・ネットワーク・コムさんのご紹介により、お客様と双方向でSMS送信ができるタイプの空電プッシュを導入されました。きっかけや当時の課題など、背景をお聞かせください。
中澤氏:双方向送信のSMSを導入する前は、お客様とお支払いの約束を取り付けられる方法が基本的に電話のみでした。それでも3年前は、当社の家賃立替額の月平均が4億1千万円程だったため対応できたのですが、現在は事業規模が拡大し、13億5千万円程度まで増加しています。約3.3倍に増えた 中で、オペレーターの人手不足が課題になりましたが、人を増やしたくてもなかなか採用が難しく、また採用できても教育が追い付かないといった状況がありました。結果的に3年間で東京に5名の増加で留まっており、大阪は今でもほぼ同じメンバーで対応をしている状況です。
支払いが滞ってしまうお客様の中には、うっかり忘れていた方もいれば、何かしらの事情で支払いが必要だと知らない方もいらっしゃいます。そうした方々は案内をお送りさえすれば、すぐ支払いいただける可能性も高いため、ご連絡方法を検討することで業務を効率化できる可能性があります。
そこでSMSなどのツールを活用してご連絡できればと話していたところ、コールセンターを管轄している上司に、クローバー・ネットワーク・コムのご担当者さんから双方向送信の空電プッシュをご提案いただいたことが、導入のきっかけになりました。
導入を検討する上で、ポイントとなったのはどのような点でしょうか?
中澤氏:もともと当社には、こちらからのSMS発信のみが行える単方向の空電プッシュが導入されていました。その活用状況を上司に報告していた際、双方向でのやり取りが可能なSMS送信サービスがあるとお聞きしたのです。
私自身もSMSの存在自体は知っていましたが、チャットのような形式でやり取りができる双方向のサービスがあることは初めて知りました。単方向のSMSの場合はご案内には役立てられるものの、コールセンターで利用する場合どうしても「ご連絡事項があるので、折り返し連絡をください」といった発信になり、最終的にオペレーターとお客様が話をする必要が生じます。けれど、今回導入した双方向SMSでしたらメッセージの中に「いつまでに払える」「もう払っている」「払えない」といった選択肢を用意することで、ある程度の回答をもらえます。オペレーターが稼働しなくても、支払いの約束を取れる点は非常に重要でした。
お話の通り、双方向送信の空電プッシュでは、SMSでお送りする文面内に選択肢と振り分けのフローを用意し、回答番号を入力してもらうことでシナリオに沿ったやり取りができます。貴社コールセンター内で活用するにあたり、工夫された点はありますか?
中澤氏:とにかく返信が欲しかったので、シナリオは慎重に検討をしました。「滞納」などのネガティブに見える単語を使わず、かつ、分かりやすいテキストにする。内容によって管理会社の名前を入れたり、「何月分の家賃の件です」などお客様がピンときやすいワードを入れたりしながら、できるだけ簡潔な文を考えました。ちょっとした空き時間ですぐ返信ができる程度のシナリオにできればと。
またお客様の声を反映して適宜、改訂もしています。例えば、ご返信は選択肢の「数字のみ」でいただく必要があるのでその旨を明記したり、回答期限が切れた際の連絡先をお客様が迷わないようコールセンターの番号を記載するなどです。
現在の具体的な活用方法について教えてください。
中澤氏:当社が家賃を立て替え、コールセンターからのご連絡が必要になったお客様のデータは、大きく分けて毎月1日と15日の2回届きます。1日に届くのは、当社が引き落とし管理もしていて、予定どおりの支払いがされなかった方。15日には、物件の管理会社に対して家賃を支払う契約をされている方の中で、期日までに管理会社への入金がなかったお客様です。
これらのデータを金額や滞納の回数等で仕分けます。例えば初めて滞納された方の場合、電話による丁寧なご説明をしないとスムーズなお支払いにつながらないため、架電の優先度が上がります。さらに一度の架電ですぐに支払いのお約束が取れる方もいれば、折り返し待ちになる方や支払いが難しい方も。そうした状況によって優先度は日々変わっていくため、時間とある程度のマンパワーをかけて仕分けとアサインの判断をします。
この結果、SMSでのご連絡が適切だと思われたお客様については、私が連絡先リストを用意し、「1日に届くデータ用」のシナリオと、「15日に届くデータ用」シナリオの2種類をベースに配信を行います。直近では、月間約8,000件の対象者となるお客様にSMSを送り、返信率56%程度、約4,600件に及ぶ多くの回答をいただけました。
双方向送信の空電プッシュを導入したことによる、効果やメリットを教えてください。
中澤氏:一人のオペレーターが1時間で対応できる受架電数から計算すると、ひと月に約1,000時間以上の働きをしてくれています。こちらを人的コストに換算すると年間で約2,000万円が削減できたことになります。オペレーターを増やすことなく、ここまでの成果があがるのは本当にすごいことです。
SMSの返信率も、導入当初から常に55%~60%弱をキープしています。お客様としても人から直接支払いできない理由を聞かれるよりは、SMSで提示される数字で答えた方が、精神的にも楽なのかもしれません。実際に払える方だけでなく、払えない方でも結構な割合で返信をくださっています。
さらに、回答をいただいた後のデータ処理でもメリットが生まれています。お客様の回答は整理されたデータとして出力できるので、簡単なシステムを作ることで当社が保有するお客様リストとの照合が素早くできるようになりました。その結果をもってもう一度SMSを送るのが良いか、電話に切り替えるなどの判断や管理がスムーズに行えています。
もし空電プッシュを導入していなければ、オペレーター5名の増加だけでは今の状況に対応しきれていなかったと思います。こうしたツールやシステムの重要性を実感しています。
今後、空電プッシュの活用方法で考えていることがありましたら、お聞かせください。
中澤氏:当社では医療費用や養育費、介護費用の保証事業も行っており、シナリオを工夫さえすればどのチームでも活用できると感じています。実際にコールセンターで隣にいるチームでも使えるのではという話が上がっているようです。今回のようにSMSでの簡単なやり取りで目的が達成できたり、約束を取れる案件に関しては人手をかけることなく、プロの支援もいただきながら、システム化を進めていけたらいいと考えています。
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