東京都の東部、都心にほど近い立地にありながら、23区最大の公園面積を有する人口70万人の特別区、江戸川区。従来、郵送・電話・訪問で行われていた区民税滞納者への催告に“合わせ技”として加えられたのが「空電プッシュ for LGWAN」によるSMS送信でした。ここではその経緯と導入後の活用ぶりについて、石井氏、神﨑氏にうかがいました。
江戸川区は住民構成に特徴のある区だとお見受けしております。
石井氏:高齢者も多いのですが、15歳未満の年少人口率が約13%と子育て世帯も多く、住民の平均年齢は比較的低いですね。また、人口の5%を占める外国籍住民は、中国籍の方をはじめインドや、ネパール、最近ではベトナム出身の方も増えています。
神﨑氏:納税課に関しても近年、外国人の方の対応には注力していますね。
今回「空電プッシュ for LGWAN」を導入された、納税課についてお聞かせいただけますか。
石井氏:実は、江戸川区の住民税収納率は2011年度に東京23区中22位まで落ち込んでいるのです。その後、収納率を上げようと地道な取り組みを続け、2018年度には収納率98.62%、23区中3位にまで改善することができました。
神﨑氏:2011年頃は過去の滞納繰越分がかなり多かったのですが、滞納繰越分の整理を強力に進めながら、現年度から滞納繰越になる案件も極力減らして、数年かけて圧縮できたことが大きいですね。それによって現年度の滞納整理により力を注げるようになりました。
石井氏:2015年度には23区の平均と肩を並べ、2016年にはそれを追い越し、と徐々に収納率が上がってきた中で、さらに収納率を改善するための手段の一つとしてSMSが挙げられたのです。
「空電プッシュ for LGWAN」導入の決め手は何だったのでしょうか。
石井氏:一番重点を置いたのは「どのシステムを採用することが一番セキュアか」ということです。江戸川区では住民の携帯電話番号を「個人情報に準ずる情報」として扱っています。それをセキュリティの不安がある環境の中に置くのは望ましくない。
他社製品はサーバが海外にあったり、一般のインターネット回線を使用するものであったりして、コストは安かったのですがセキュリティ性能面でやや不安があった。そうすると、個人情報保護の部門や、情報システムの部門との調整も厳しいものとなります。
SMSの導入自体は2015年頃から検討されていたのですが、2017年に「空電プッシュ for LGWAN」がリリースされたことで、実際の導入へ向けて進んだ面はあると思っています。江戸川区でも当然セキュリティ対策は取れていますが、LGWAN(総合行政ネットワーク)環境というある程度クローズな環境であれば、それ以上のセキュリティが担保されますから。
それに、江戸川区は税務システムもLGWAN網の中で運用していますので、セキュアな環境内で送付対象者の抽出をして、送信まで行える利便性も大きかったですね。
納税課の業務の中で、SMSの送付はどのように行われているのですか。
神﨑氏:まず納税通知書を住民の皆様へお送りして、期限内に住民税の納付がない方には、法に定められた督促状や自治体独自の催告文書を郵送し、さらに電話をかけたり、訪問したりといった形でコンタクトを取ります。これとは別に、SMSでは「督促や催告が届いているはずなので、お手続きください」といった内容の「納付のご案内」を送付しています。SMSは郵送、電話、訪問と並行して送信していますが、文面やどのタイミングで送信するかなど、効果を見ながら試行錯誤しているところです。
ここまでで、最も効果が高かったのはどのタイミングでしたか。
神﨑氏:職員で一斉に電話をかけた翌日でした。携帯電話でつながらず、留守番電話にも切り替わらなかった、いわゆる「コールのみ」のケースを抽出して200件ほど送信しました。電話だと「知らない番号からの電話」として着信を無視するケースもあるので、まずは「江戸川区納税課です、住民税の件でお電話しました」という内容のSMSで、用件を知らせるようにしたのです。
石井氏:SMSに電話番号を載せると、折り返しの電話が集中し、応対に追われてしまう可能性があったので、江戸川区のホームページ内にある「どのようなケースでSMSを差し上げているか」説明しているページのURLを載せて、アクセスしていただくようにしました。このページは「江戸川区 SMS」で検索すると上位に表示されますし、送信元番号も掲載していますから、詐欺メッセージでないか確認もできます。
神﨑氏:実際は、URLをクリックしていなくても、その後納付してくださるといった方も多かったです。
おそらく、電話や郵送での通知と併せてSMSを送ることで、URLをクリックしなくても用件に気づいていただけるのですね。
神﨑氏:そうですね。実は、初回はこれまで郵送、電話、訪問のどれでも反応がなかった対象者を抽出してSMSを送信したのですが、結果にはつながりませんでした。ずっと着信しないケースでは、その携帯電話自体が実質機能していないと気づくきっかけになりましたが。逆に、短期未納で、少額で、という比較的ライトな対象者では違う反応が出たので、郵送、電話、訪問との「合わせ技」は効果的だと思います。
石井氏:自宅を長く空けることの多い方だと、郵便や自宅への電話はつながりませんし、移動が多い方ですと携帯電話への着信にもなかなか応じられない。そういった通知の届きにくい方にも、SMSを併用すれば端的に用件を伝えられるという利点もありますね。
効果検証によって独自のメソッドが生み出されているのは素晴らしいです。着信結果で「その番号が機能しているかわかる」というのも、今後の業務効率化に生かせそうですね。
最後に、今後「空電プッシュfor LGWAN」に望むことについてお聞かせください。
神﨑氏:効果測定の方法をもっと知りたいですね。本年度以降は昨年度の結果と比較するのがいいかなと考えてはいますが、他の自治体ではどのように効果測定しているか、気になります。
収納率は変動要素も多いので、まずは「訪問件数の減少率」など、業務効率の変化を測定すると効果が目に見えやすいかもしれませんね。石井様はどうでしょうか。
石井氏:先ほど「LGWAN環境内で税務システムから送付対象者を抽出して、空電プッシュからSMS送信できるのが便利だ」という話をしたのですが、将来的にはもう一歩進んで、督促状送付、架電、SMS送信等一連の事務をシステム内で連携できるととても便利ですね。ちなみに、外部委託している「納付案内業務」においても、電話・訪問にプラスしてSMSを使用する環境はすでに整えていまして、近日中に導入する予定です。
並行運用する上でも、郵送、電話、SMSを一括管理できると、効果測定の効率化などさまざまなメリットが考えられますし、ぜひ実現させたいですね。本日はありがとうございました。
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