飲食店向けの予約・顧客管理サービスを中心に、オンラインとオフラインを融合したOMO事業を展開する株式会社エビソル。同社が手掛ける飲食店向け予約管理システム「ebica」で、各店舗から予約客への連絡のためにAPI利用されているのが「空電プッシュ」です。導入のきっかけや、段階を踏んで広がっていったという具体的な活用方法、飲食店にとって懸念となっていたノーショーを抑止するメリットなどについて、執行役員兼プロダクト管理部部長の田口氏にお伺いしました。
まずは貴社の事業内容と田口様が所属する部署の業務内容について教えてください。
田口氏:当社ではOMO事業として、飲食店様向けに予約を最大化するためのご支援や、マーケティングサービスを提供しています。私が部長を務めるプロダクト管理部は、実際にクライアントがサービスを使い始める際のオンボーディングや利用中のサポート業務など、サービス受注後のプロセス全般を担っています。また、提供するサービスの仕様策定・インシデントの対応といった運用も担当しています。
貴社のサービス内で空電プッシュがAPI利用されているとのことですが、導入されたサービスとはどのようなものでしょうか?
田口氏:当社の主要プロダクトである、クラウド型予約管理システム「ebica」で空電プッシュをAPI利用しています。飲食店に訪れた際、予約情報を紙の台帳に書いて管理しているのを見たことがあると思うのですが、それをデジタル化したサービスですね。契約いただいた店舗の空席情報をウェブ上に掲出し、予約が入れば席ごとにシステム内の台帳で管理して、お客様の来店に備えるような仕組みになります。このウェブ上の空席情報を、各飲食店様のホームページ上だけではなく、「ぐるなび」や「食べログ」、「ホットペッパーグルメ」といったグルメサイトにも掲出することで、予約の最大化に寄与しています。「ebica」は、現在約15,000店舗にご利用いただいています。
飲食店の予約受付や管理をするシステムの、どの部分に空電プッシュが利用されているのでしょうか?
田口氏:ご予約されたお客様に対し、店舗側から連絡を取る際の一つの手段としてSMSを活用しています。ウェブでの予約の場合は、メールアドレスを登録いただくことが多いため、メールで連絡するケースが多いものの、電話で予約されたお客様には通常メールアドレスはお伺いしません。すると、確認事項や緊急のお知らせなどがあったときの連絡手段は架電のみになるのですが、実際にかけてみてもなかなかつながりにくいのが実情です。そういった際にお伺いした携帯電話番号に対してSMSをお送りできるようにしています。
空電プッシュ導入のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
田口氏:導入したのは2014年です。当時から飲食店様の事情として、電話での予約が多くリマインドや緊急連絡のためのメールアドレス取得が難しいといった課題がありました。そこで、通信手段が何かないかを考えた際にSMSが候補に挙がりました。特に近年話題に上ることも多い「ノーショー」、つまり予約当日に連絡もなく誰も来ないといったトラブルも時折見受けられました。実際そうしたトラブルが起こっても、電話で予約を受けていると架電以外に連絡手段がないため、何らかの形で他の手段を確保する必要があると考えたのです。
導入へ至る上での、一番のポイントを教えてください。
田口氏:最も重視したのは「到達率」ですね。電子メールもその点に関しては少し弱く、到達確認が難しい問題もあります。確実な連絡手段として取り入れることを考えたときに、やはり届かなくては意味がない。そこで当時SMS送信サービスを3社ほど検討したところ、空電プッシュの到達率が一番高かったのです。また、NTTコム オンラインの営業の方とお話しし、送信時の単価を相談させていただけたのも大きかったです。さまざまな飲食店様にたくさん使っていただきたいと考えると、その部分も重要なポイントになりました。
現在の空電プッシュの具体的な活用方法について教えてください。
田口氏:「ebica」に予約登録をした時点で必要情報を読み込み、自動送信できるような形で実装しました。まずは予約登録があった時点で、「ご予約ありがとうございました」という趣旨の通知をSMSでもお送りできるようにしたのが、最初のステップです。電話予約の場合は、店舗の方々が「ebica」にその情報を登録した時点でSMSを送るか送らないか選べるようにし、ウェブ予約の場合は通知をSMSとメールどちらで送るか選択できるようにしています。
また、次のステップとして、予約リストに対して用意した文面を一斉送信できるようなサービスを実装しました。例えば野外で運営する飲食店様の場合、雨天時は営業を見送りますよね。その際に、予約されている十数組のお客様に一斉にご連絡するのが難しかったり、ウェブサイトに告知を出してもなかなか見てもらえないとお聞きしていたからです。
さらにもう一段進んだ活用の方法として、当社で現在展開している電話系のサービスと連携したSMS送付を行っています。ひとつは「IVR」(自動音声応答システム)を使ったサービスとの連携。店舗に電話をかけたお客様が音声案内に沿った番号を選択するなどして「予約をしたい」旨を伝えると、電話いただいた携帯番号宛にウェブ予約用のURLを自動送信できるような機能を追加しました。そして最近では、AIが電話の受付に応対する「AIレセプション」のサービスを展開し、その中にも空電プッシュを組み込んでいます。AIが応答して聞き取った内容を「ebica」に予約登録した上で、受付完了のSMSを自動送信するような仕組みですね。電話サービスのレベルが上がるに伴い、空電プッシュの利用の幅や頻度も上がっています。現在、当社サービス内でのSMS送信数はひと月で約65,000通です。
空電プッシュを導入したことでの効果やメリットについて教えてください
田口氏:主にご利用飲食店様からの反応になりますが、予約日時をリマインドすることで「ノーショー」が減ったとの声が届いています。数は少ないにしても、飲食店にとっては死活問題ですので、一つの効果として意味があったと思います。また、一番喜んでいただいたのは、やはり野外で運営されている飲食店様ですね。天候による急なお休みなどの際に、時間をかけずに一斉連絡ができる。架電での連絡ですと対応される従業員の負荷が高く、何より迅速なご連絡ができないとクレームになりかねません。店舗様側からも連絡手段が欲しいとのご希望をいただいていましたので、お応えすることでサービスの向上につながったと考えています。
今後の活用方法で考えられていることやご要望などがあれば教えてください。
田口氏:当社のサービス内で使用する連絡手段として、ローコストで確実に到達するコミュニケーションチャネルをどう確保するかは非常に重要ですし、有力な候補として今後もSMSは活用していきたいと考えています。その中で、インバウンドのお客様が少しずつ戻りつつあり、国際電話番号を使ってご予約いただくケースが増えています。そうした海外キャリアの携帯端末に対してSMSを送れるようになると、活用の幅がより広がっていくのではないかと考えています。特に外国の方とのやりとりは架電では難しいという飲食店様もいらっしゃるため、今後SMSでのサービスがより重要になってくるのではないでしょうか。
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