計6隻の旅客船・貨物船を有し、鹿児島、東京、阪神、北九州の各航路で船の運航と管理、お客様サービスなどを手掛けるマルエーフェリー株式会社。同社の鹿児島、奄美群島、沖縄を結ぶ旅客船において、天候不良の際に予約客への運航状況連絡に利用されているのが「空電プッシュ」です。働き方改革が急務となっていた中での導入の決め手や、台風・冬型の気圧配置といった船ならではの緊急時において、お客様への案内対応状況を大きく改善したメリットなどを、事業本部長兼総務部長の有村氏、鹿児島営業部の田中氏にうかがいました。
まずは貴社の事業内容とおふたりが所属する部署の業務内容、その中での役割について教えてください。
有村氏:当社は、国内の4つの航路に6隻の船を運航し、サービスを提供している会社です。鹿児島、奄美群島、沖縄を結ぶ旅客船が2隻、東京・沖縄間を結ぶ貨物船が2隻、さらに大阪・沖縄間と北九州・沖縄間の航路にも2隻の貨物船を配船し、船の管理から運航、お客様への営業活動、サービス対応などを全て自社で実施しています。
私は事業本部長と総務部長を兼任しています。事業本部は、業務に関わる新たなシステムの導入などを担う部署です。現在は私も含めて3名が在籍し、システム運用を担当する別部署の担当者とDXを推進しているところです。総務部では、社員の採用・教育や広報活動を行っています。
田中氏:私は、鹿児島営業部の所属です。鹿児島航路は貨物と船客の2課に分かれており、私は船客営業に携わっています。
空電プッシュ導入のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
田中氏:船客営業の業務は、「一般予約・団体予約の受付」「旅行代理店への営業活動」「運航案内」「安全とお客様へのサービス向上の取り組み」の大きく4つに分かれており、空電ブッシュはその内の運航案内で活用しています。船の場合、天候などの関係で条件付きの運航となるケースがしばしば発生します。台風や冬型の気圧配置の影響に伴う「欠航」や「臨時運航」などです。そういった場合、これまでは予約センターから架電で、当該船を予約いただいていたお客様一人一人に運航状況変更のご連絡をしていました。
しかし、そうしたイレギュラー運航が発生するときは、お問い合わせの電話もたくさんいただきます。予約の方はもちろん、まだ予約されていないけれど状況を知りたいといった方も結構いらっしゃる。その結果、予約センターの回線がお問い合わせ対応で全て埋まってしまい、予約客の皆さまへ連絡できるのが、イレギュラー運航の決定から2時間後くらいになってしまっていました。
イレギュラー運航の案内中でも、通常の予約対応業務は動いていますので、回線がパンクしてしまうことで、予約やお問い合わせの電話自体がつながらなくなる課題もありました。予約センターのスタッフ3~4名のマンパワーでこれらを全てに対応しきることは難しく、対策が必要だったのです。
有村氏:そうした相談を受けていた2019年の10月頃に、同業他社の方からNTT コミュニケーションズさんの「ナビダイヤル」サービスを紹介いただきました。その後、田中と一緒に担当営業の方からご提案いただく機会があり、ディスカッションをしていったところ、当社の状況においては「空電プッシュ」の方を導入してSMSでお客様にご案内をお送りできた方がいいのではないかという話になったのです。
導入へ至る上で、一番のポイントとなった点を教えてください。
有村氏:一番のポイントとなったのは、導入の簡便さと使いやすさです。導入はシステム担当課と相談をしながら進めていきましたが、特別準備が必要なものはなく、すぐ使い始めることができました。使いやすさについては、社内の異動などで旅客に携わるメンバーが定期的に交代するため、新しく来たスタッフもスムーズに使えることが大事でした。また、社会情勢的に働き方改革が叫ばれている中で、当社も業務効率化などを急務としていたタイミングだったため、NTT コムオンラインさんの対応のスピーディさにも魅力を感じました。
現在の空電プッシュの具体的な活用方法について教えてください。
田中氏:運航状況の変更が確定し次第、当該船を予約されたお客様にSMSで情報をお送りしています。スピーディにご連絡できるよう、テキスト文面は「欠航」「臨時便」「条件付き」ほか、いくつかのパターンでテンプレートを用意。送り先については、クラウド上にある予約管理用のデータをダウンロードして取り込んでいます。予約管理についても、これまでは電話でいただいた情報を紙の台帳に手書きしていたのですが、ちょうど空電プッシュ導入の直前にクラウドでの管理に切り替えたため、手間をかけずにご案内できるようになりました。
有村氏:送信数は、予約数と天候の兼ね合いによってかなり幅があるのですが、おそらくピークとなった2022年12月は約8,000件でした。12月は年末年始の帰省の影響で非常にたくさんの方に乗船いただく時期。かつ、冬型の気圧配置の影響で悪天候の日も多いため、二重の要因で増えたのではないかと思います。
田中氏:乗船客数のピークは例年夏休み時期の7月後半~8月半ば頃。ほかにゴールデンウイーク、年末年始、シルバーウイーク、年度切り替え時の引っ越しシーズンが多くなります。また、台風の時期と12月から2月にかけて冬型の気圧配置になるタイミングが天候不良になりやすいのですが、それらを含めて平均すると月に約2,900通をお送りしています。
空電プッシュを導入したことでの効果やメリットについて教えてください。
田中氏:導入前は、これまでお電話でイレギュラー運航のご案内をしていたところ、SMSを一方的に送るだけで終わりにして大丈夫か少し不安があったのですが、実際始めてみると大きなトラブルもなくうまくいっていると感じます。以前は全ての対応が終わるのに約半日かかっていましたが、空電プッシュですと20分程度でご案内が完了する。お問い合わせへの対応をしても、回線のパンク状況は大きく改善されました。導入前に抱えていた課題は、現在全てクリアになった状況ですね。
有村氏:導入前は予約センターの回線がパンクしていたことで、本社にも「電話がつながらない」といった旨のお問い合わせがありましたが、現在では全くありません。SMSで送信するテキストには当社HPへのリンクも貼っているので、お客様ご自身でアクセスし、リアルタイムの運航状況などを確認いただけているようです。
田中氏:オペレーターの使い勝手に関してもこれまでトラブルはなく、新しく配属してきたスタッフもスムーズに操作できているので、とても満足しています。
今後の空電プッシュのご活用方法や、追加されると良いと思われる機能などがあれば教えてください。
有村氏:現在は運航案内のみでの利用ですが、全国的な旅行支援が実施されている中で、例えばツアーのご案内といった営業促進の面でも使っていけるのではないかと考えています。また乗船予約の方法として、今は電話のみとなっておりますが、将来的にはオンラインでの受付にも対応したい。そうしたシステムが整備されたら、ご利用履歴があるお客様へのPRなどでさらに活用場面を増やしていけるといいですね。
田中氏:鹿児島営業部には貨物部門もありますので、そちらに関わる運航状況のご案内などでも活用できる可能性があります。該当部署の者とも相談しながら、さらに幅広い活用の仕方を探っていきたいと考えています。
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